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2022年10月23日日曜日

旧世代PC Nikkor各種の情報

28 mm F4.0

https://imaging.nikon.com/history/story/0017/index.htm

https://www.mir.com.my/rb/photography/companies/nikon/nikkoresources/PC_Nikkor/index3.htm

28 mm  F3.5

https://www.mir.com.my/rb/photography/companies/nikon/nikkoresources/PC_Nikkor/index4.htm

35 mm F3.5

https://bmwdean.com/pc-nikkor-manual.htm

http://www.marcocavina.com/articoli_fotografici/PC-Nikkor_35mm/00_pag.htm

35 mm F2.8の1つめ

https://lens-db.com/nikon-pc-nikkor-35mm-f28-1968/

http://www.marcocavina.com/articoli_fotografici/PC-Nikkor_35mm/00_pag.htm

35 mm F2.8の2つめ

https://www.mir.com.my/rb/photography/companies/nikon/nikkoresources/PC_Nikkor/index2.htm

https://cdn-10.nikon-cdn.com/pdf/manuals/archive/PC-Nikkor%2035%20mm%20f-2.8.pdf

2020年11月11日水曜日

MFでのピント合わせって難しい

ファインダーの重要な役割の一つは構図の決定ですが、ピント合わせにも大きな役割を果たします。特にF1.4大口径レンズの場合は被写界深度が浅くなることもあり、要求されるピントの精度が高くなる傾向にあります。実際にはF4.0くらいであってもピントのピークがかなり狭いので、突き詰めるとかなり高い精度が要求されます。たとえばPlanar 1,4/50 ZFやDistagon 2/35でF4.0まで絞り込むと被写界深度が深くなるのは事実ですが、3600万画素のカメラで使っている場合はドットバイドット表示すると最良の描写になるピント位置は極めて狭いことに気づかされます。

OVFによるピント合わせは容易ではなく、撮影時にはピントが正しく合っていたと思っていても後で見てみると実はピントが微妙に合ってなかったということは誰しも経験することです。同時にMFレンズへの抵抗が増えてしまいます。幸いミラーレスが台頭して、そのEVFであれば実絞りで高精度なピント合わせができるので、この記事で述べるほどの問題は発生しません。またOVFを搭載したカメラでもほとんどの機種でライブビューによる精密なピント合わせが容易に可能になっています。良い時代です。そうは言ってもOVFで厳密なピント合わせができればこれほど楽しいことはないので、検討すべき要因を見ていきます。具体的には5つに大別できます。

  1. そもそもピント合わせに向いてないスクリーン
  2. スクリーンの位置がズレている
  3. 残存している球面収差で、絞り込むとピントが移動する場合
  4. 像面湾曲の影響で、画面の中央と周辺でピント位置が異なる場合
  5. ファインダースクリーンと絞り開放時の相性

それぞれ見て行きます。

スクリーンの特性

まずはスクリーンの特性がマニュアルフォーカスに向いていない場合があり、具体的には「暗いレンズ」でもファインダーが真っ黒にならないように、拡散が抑えられてる場合はピントが見づらいと言われているようです。たとえばキヤノンの標準タイプとSタイプで、前者は汎用の一方で後者はF2.8以下で特に大きな効果を発揮すると言っています。実際のレビューがこちら

2020年11月10日火曜日

Makro Planar 2/100のレビューまとめ

高性能と言われているレンズですが実際はどうでしょうか。

レンズの特徴

このレンズMTFチャートがやたらフラットです。実際に撮っていても画面の中央と周辺で差がほとんどありません。

More PhotoGeekery: Finite Conjugate MTF Bench Tests for Macro Lenses

https://www.lensrentals.com/blog/2016/08/more-photogeekery-finite-conjugate-mtf-bench-tests-for-macro-lenses/

Carl Zeissの一眼レフ向けレンズの中でもやたら周辺までフラットな特性を示します。

Just MTF Charts: Zeiss SLR Lenses

https://www.lensrentals.com/blog/2019/03/just-mtf-charts-zeiss-slr-lenses/

では無敵なレンズなのかというと、決してそんなことはありません。問題を見て行きましょう。

軸上色収差

一番の問題は絞り開放付近において残存している軸上色収差です。この点でOtusに大きく後れを取ります。

2020年11月6日金曜日

Distagon 2,8/21の個体差

巷では超高性能と言われているDistagon 2,8/21ですが、Lensrentalsにおける評価ではコシナのCarl Zeissのシリーズの中だと「ばらつきが大きめ」なほうです。

https://www.lensrentals.com/blog/2015/07/variation-measurements-for-wide-angle-lenses/

この評価の指標は各レンズを複数個体(n=5から10程度)で計測したMTFのうち、30 lpmmのサジタル(放射方向)とタンジェンタル(同心円方向・メリジオナルとも)でより悪い方を用います。ただし性能の悪いレンズは分散が大きくなれないという原理的な問題から、分散の絶対値ではなく平均値による補正(正規化?)を行い、さらに高性能なレンズで指標が指数関数的に上昇してしまうので感覚的に合致するよう平方根(なんで対数じゃないんだろう?)をとっているようです。これは以下のgeek onとgeek offの間に詳述されています。

https://wordpress.lensrentals.com/blog/2015/06/measuring-lens-variance/

出てきた数値を感覚的に見てみると、どうやら5以下だとイマイチ、6以上だとなかなか良いようです。

指標は5.2なのでイマイチは免れていますが、それでも値は低めです。ここで同じLensrentalsのブログに面白い記事を見つけました。

2020年11月4日水曜日

コシナの作ってるCarl Zeiss一眼レフ向けレンズ(クラシック)のシリアルナンバー

中古カメラとか眺めてて何となくパターンが見えてきたので備忘録

(1553番台とか1555番台はZMシリーズに使われた模様でSonnar 2/85は1556の最初の方)

1556番台はPlanar 50/1.4 ZF(噂だと一部はヘリコイドが社外で作られてる)

1557番台がPlanar 85/1.4 ZF

1557にDistagon 2/35 ZF

1557にDistagon 2/35 ZK(15579)

1558はMarko Planar 2/50 ZFで15580から15584あたり

1558にMakro Planar 2/100 ZFで15585や15586、あと15588

1559のPlanar 1,4/50 ZFの一部はコバ落ちしやすいらしい?

2020年3月2日月曜日

中野のカメラ屋でコシナで作っていたCarl Zeiss(クラシック)を入荷

ちょっと面白かったのでまとめです。

コシナのCarl Zeissクラシックシリーズは、Planar 1,4/50と1,4/85を除き、Milvusへ移行していく中で徐々に消えてきました。最初にMilvusで出たのは2016年にDistagon 2,8/21, 2/35, Makro Planar 2/50と2/100、半年遅れてDistagon 2,8/15, Apo Sonnar 2/135の合計6本が基本構成を継承して、Distagon 3,5/18は新設計でMilvus化しました。さらに2017年にはDistagon 1,4/35が新規設計でMilvus化しています。正確な時期は不詳なものの、Distagon 2/25, 2,8/25そして2/28も生産終了となっています。

生産終了後も一部のお店ではZEマウントを中心に流通在庫が出回っていて、特にDistagon 2/25についてはZF.2もZEも残っている状況が続いていました。ところが2020年の2月に突如とあるフジヤカメラでほとんどのClassicシリーズのレンズが突如として入荷しました。
Distagon 2,8/15 ZEなど一部でこの記事を書いている時点ですでに掲載終了しているため価格が不明のものもありますが、入荷を確認したレンズの一覧は以下の通りです。
  • Distagon 2,8/15 ZF.2/ZE (200,000→)198,000→188,000→168,000→163,000/200,000(→?)2020年5月24日現在ZEは在庫無し。2020年11月16日の時点でZF.2が10個11月20の時点で残9→149,800を経て144,800に。残りが2021年2月27日の時点で8本
  • Distagon 3,5/18 ZF.2/ZE (138,000→133,000→)128,000→118,000→99,800→96,800 2020年11月16日の時点でZF.2が10個→2020年12月3日の時点で残り9→2020年12月5日の時点で8→2021年2月27日の時点ではZF.2が74,800で残り2本、ZEが69,800で残り4本
  • Distagon 2,8/21 ZEのみ 173,000→158,000→138,000最初からZEのみ→2021年2月27日は99,800円で残り11本
  • Distagon 2/25 ZF.2/ZE (89,800→)94,800→89,800/84,800 2020年5月24日の時点で残9/1 2020年9月3日の時点で残2/0 → 2020/11/16の時点で残1/0→11月20の時点で売り切れ
  • Distagon 2,8/25 ZF.2のみ 59,800円で、ZF.2は2020年11月16日の時点で残り3個11月20の時点で残2さらに2020年11月29日の時点で残り1→2021年2月27日は売り切れてる。ちなみにZSがアダプタ付きで49,800だからEOSに付けたいひとはZSのほうが良さそうで、2021年2月27日は44,800円で割と売れたものの残り5本
  • Distagon 2/28 ZF.2/ZE (54,800→)59,800→64,800→69,800/49,800→54,800だったが、2021年2月27日時点ではZEのみ49,800で残り3本→2021年3月7日ついに最後の1本が売れた模様
  • Distagon 2/35 ZF.2/ZE (69,800→)74,800→79,800/64,800 2020年5月24日の時点で残1/2(ZEは2以上)
  • Distagon 1.4/35 ZF.2 (108,000→)103,000 2020年9月3日現在ZEマウントが99,800→2021年2月27日は79,800で残り2本
  • Makro Planar 2/50 ZF.2/ZE 108,000/108,000 2020年5月24日現在共に在庫無し
  • Makro Planar 2/100 ZF.2/ZE 173,000/173,000 2020年9月3日現在ZEマウントのみ168,000→2021年2月27日の時点で149,800で残り1本
  • Apo Sonnar 2/135 ZF.2/ZE (188,000→)183,000/183,000 2020年5月24日現在ZEは在庫無し→ZF.2が173,000で、2020年11月16日の時点でZF.2が1個
一部のレンズでは入荷が確認された2月4日から現在に至るまでに、Distagon 2/28 ZF.2では5,000円の値上がりがありました。売れ行きが思ったより好調だったので価格設定の変更を行ったのでしょうか……

ディスコン当時は割とすぐ流通在庫が捌けてしまったので人気があるのかと思っていましたが、今回の入荷ではMakro Planar 2/50が早々に捌けた以外はジワジワと販売終了になっているようです。とはいえ気になる方はお早めに

【追記】3/7時点ではまだ「かなり」残っているようです

ちなみにDistagon 4/18 ZMも出てて、これは一眼レフ用ではなくレンジファインダー用のMマウントなんですけど、なぜか一眼レフのところに一緒に掲載されているんです。ちなみにこれもディスコンされて新品は数年前に市場から消えたので一緒に再入荷したと思われます。値段の推移は138,000→133,000→128,000→118,000→108,000

2018年6月2日土曜日

smc PENTAX-D FA645 55mmF2.8AL[IF] SDM AWがオンラインストアから消えてる

何らかのミスだとは思いますが、当該商品がオンラインストアの一覧から消えています。

http://store.ricoh-imaging.co.jp/c/c21211121/

製品ページは健在ですが、ストアで価格を確認するをクリックすると取り扱いできない商品という表示になります。

http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/products/lens/645/standard/smcpentax-dfa645-55/

海外の製品ページにももちろん掲載されています。

http://www.ricoh-imaging.co.jp/english/products/lens/645/standard/smcpentax-dfa645-55/

おそらくストアの設定ミスでしょう。

2018年2月25日日曜日

最近買ったもの

最近12ヶ月で買ったものをまとめておきます。
  1. コシナのズームファインダー(タイプB)
  2. ペンタックスの中判レンズ各種
  3. Sound DevicesのMixpre-3
  4. Audio-TechnicaのBP 4027
  5. PanasonicのGH5
  6. Panasonicの7-14 mm f/4
  7. Zhiyun-TechのCrane V2
  8. Arca Swiss互換プレート類
以下、順番にそれぞれの簡単な感想を書いておきます。

2017年12月24日日曜日

Carl Zeiss (ZEISS)の一眼レフ用のclassicシリーズの動向

コシナが製造してるCarl Zeiss銘のマニュアルフォーカスシリーズですが、最近はOtusの登場とMilvusシリーズの相次ぐ新製品投入が続いています。Otusは28 mm以来新作が出ていませんが、MilvusのほうはDistagon 1,4/35とDistagon 1,4/25が割と最近に発売・発表され、前者はclassicとは別の光学でOtusに匹敵する色収差補正が謳われ、後者は同社25 mmで初のF1.4です。

カールツァイス「Milvus 1.4/35」が国内発売 - デジカメ Watch
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/1075886.html

「ZEISS Milvus 1.4/25」が海外発表 - デジカメ Watch
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/1087104.html

これら新シリーズの影に隠れているのがclassicシリーズで、Planar 1,4/50とPlanar 1,4/85を除いてはいずれMilvusに置き換わっていってしまうのではないかと、Milvus最初の6本が出たときに思いました。というのもこの6本の中でDistagon 1,4/50とPlanar 1,4/85以外のDistagon 2,8/21, Distagon 2/35, Makro Planar 2/50, Makro Planar 2/100は基本的に同じ光学設計であるためです。コーティングは改善されて、さらにどうやらカバーガラスをセンサー直前にハイしているデジタルセンサーに最適化して微修正は加えられてるようですが、基本は同じなのでclassicを続ける理由が特になさそうです。

コシナ、カールツァイスと共同開発したレンズ「Milvus」 - デジカメ Watch
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/720623.html

Carl Zeiss Milvusシリーズ - デジカメ Watch
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/interview_dcm/730550.html

2017年5月9日火曜日

センサーサイズと画角と焦点距離とF値のお話

同じレンズでも、ボディのセンサーサイズが変われば画角が変わることは広く知られていて、この画角の変化をわかりやすくするために「換算焦点距離」が指標として使われることがあります。このとき焦点距離は換算してF値はそのままということがあります。たとえば4/3のレンズにオリンパスのZD 300/2.8がありますが、これを35 mm判に換算したとき「600/2.8」と表現するものです。この表現の是非について検討します。被写界深度という観点から考えてみましょう。被写界深度はピントが合っているように見える範囲で、絞るほど被写界深度が深くなります。

被写界深度を決める値は焦点距離とF値と撮影距離、それに許容錯乱円です。短い焦点距離、大きなF値、遠い撮影距離と大きな許容錯乱円で被写界深度が大きく、深くなります。今回は撮影距離が一定の条件を検討します。また許容錯乱円の半径は同一人物が観測する同一の画像であれば、像の拡大率に比例するとします。

まず像の拡大率が一定の場合の被写界深度を検討します。撮影した画像をあるモニタでドットバイドット表示するとき、画素ピッチが一定ならば撮像素子上の像をモニター上で何倍に拡大するかが一定です。このためセンサーサイズにかかわらず許容錯乱円の半径が一定なので、被写界深度は変わらず、F値を換算する必要もありません。このことは次の実験で簡単に確かめられます。ある画像をドットバイドット表示してる状態でトリミングを行い、トリミングの前後で被写界深度を見てください。当然かもしれませんがドットバイドット表示したときは何の変化もありません。

次に像の拡大率が一定という条件の妥当性、言い換えると「像の拡大率がセンサーサイズにかかわらず一定である」という条件が妥当かどうかを、モニタ表示とプリント評価という2つの例で検討します。あるモニタ上で画像をドットバイドット表示する条件では、小サイズフォーマットほど像の拡大率が大きくなる傾向があります。これは小サイズフォーマットほど画素ピッチが小さいからです。2017年5月現在では、35 mm判が2000から5000万画素の一方でm4/3は1200万画素から2000万画素程度です。35 mm判よりもm4/3が面積あたりの画素が多く、画素ピッチは小さいです。このため、あるモニター上でドットバイドット表示したとき、小フォーマットほど像の拡大率が大きくなる傾向があります。プリントではどうでしょうか。像の拡大率が一定になるよう、35 mm判で撮ったものはA2に、m4/3で撮ったものはA4に、プリントする人は稀です。むしろセンサーサイズに関係なくA4に出力することがほとんどです。撮像素子の面積と印刷面積の比率を考えると、小サイズフォーマットほど大きく拡大されます。いずれも像の拡大率は一定ではありません。

それでは拡大率が可変になる条件の中で、最終的な出力サイズが同じときに被写界深度がどうなるか検討してみます。一例として35 mm判で200 mmのF4.0で撮ったとき画角と被写界深度を、m4/3で得るにはどうすれば良いか考えてみます(計算サイト)。まず画角を揃えると、m4/3で使うレンズの焦点距離が100 mmになります。ここでF4.0のままだと焦点距離が半分になったため被写界深度も深くなり、計算すると4倍になります。ただし出力が同じ大きさで、35 mm判の拡大率に対してm4/3の拡大率は2倍なので、35 mm判の許容錯乱円の半径に対してm4/3の許容錯乱円の半径が半分になります。このため35 mm判で200/4.0の被写界深度に対してm4/3の100/4.0の被写界深度は、4倍の半分で2倍に相当します。この2倍になっている被写界深度を揃えようとすると、F値を小さくしなければなりません。具体的にはF4.0を拡大率の比率である2で割ってF2.0になります。センサーサイズが変わったときに画角も被写界深度も変えたくない場合は、焦点距離もF値も同時に変えなければなりません。35 mm判で200/4に相当する画角と被写界深度をm4/3で得たければ(100/4.0ではなく)100/2.0が必要です。以上のことから、画角の変化を換算焦点距離で表す場合はF値も換算して表記するほうがより現実に即していると考えられます。

F値の換算は一つずつ手順を踏めば求められますが、もっと簡単に求める方法があります。まずレンズの焦点距離、口径そして口径比を考えます。焦点距離が200 mmで、口径比であるF値が4.0ならば口径は50 mmです。この200/4が35 mm判だったとき、m4/3で同じ画角にしたければ必要となる焦点距離が100 mmになります。 ここで被写界深度も同じにしたければ口径をそのままに口径比を求めます。具体的には焦点距離が100 mmで口径が50 mmだから口径比はF2.0です。

本来は焦点距離も口径も物理量であり、すなわちこの比率から計算される口径比もセンサーサイズにかかわらず一定のものです。200 mmのF4.0は100 mmのF2.0とは別のものです。ただどうしても簡便のため焦点距離を換算したいということであれば、同時にF値も換算するべきです。冒頭の、4/3で300/2.8のレンズを35 mm判相当で表現したければ「換算すると600/5.6」とするのが適切と言えるでしょう。

このあたりの話、センサーの感度とかも含めて英語でよくまとめられているページがありました。

2017年2月8日水曜日

ソニーがEマウントのSTFを発表

前々からEマウントのSTFが噂にはなっていましたが、ようやく発表されました。4月に発売とのことです。STFレンズは以前(ミノルタ時代)からAマウントの135 mm F2.8 (T4.5)があり、他社の135にはない独自のボケを生み出す特別な存在です。今回Eマウントに100/2.8(T5.6)が加わり、ソニーのレンズラインナップをまた一段と魅力的なものにしています。

STFレンズが持つ個性的なボケ味には、アポダイゼーション(APD)フィルターの貢献が大きいのは明らかです。富士フイルムからはAPDフィルターを挟んだレンズが登場しており、サードパーティーですが既存のレンズに組み込むBBLシリーズの改造も存在して、ソニー以外でも輪郭がなめらかな描写を楽しめます。しかしSTFレンズのボケ味を完璧たらしめるものはAPDフィルターだけではありません。マスターレンズの周辺光量の豊富さこそがSTF 135を他を追随させない「完璧なボケ」を実現してると考えられます。PhotoZoneのレビューやGANREFに載ってるDxO Analyzerの結果によれば周辺光量はかなり豊富ですが、これはAPDフィルター込みでの計測なので、マスターレンズの周辺光量は未知数です。しかしフィルター径がレンズの口径を決めるような望遠系で、135/2.0にも対応できる72 mmでしかも前玉がちゃんと大きいのにF2.8としているあたり、もしAPDフィルターを外しても周辺光量が多そうだと期待できます。

周辺光量が重要と考える理由ですが、まずAPDフィルターの存在の有無にかかわらず、一般のレンズでは絞り開放で周辺光量落ちが発生します。これは写真の持つ表情の一つで、映像効果として上手に活用するととても効果的なのですが、この原因にレンズの口径蝕が挙げられます。他にも考えられる理由はありそうですが、これまで見てきたレンズでは絞り開放における周辺光量落ちと口径蝕には強い関連がありそうでした。この口径蝕が発生すると点光源をボケとして写したときに、画面の中心部では綺麗な円なのに周辺部ではラグビーボールやレモンに形容されるような形状となってしまいます。APDフィルターは口径蝕を目立たなくすることはできるかもしれません。これは口径蝕は絞りを絞ると消えますが、APDフィルターは周辺部が暗くなっているのであたかも絞りを絞っているような効果がえられるからです。しかしこの周辺部の光を完全に遮断しているわけではなく、あくまで中心と比較すると相対的に低い透過率にしています。このためおそらく完全に口径蝕をなくすことはできません。マスターレンズの口径蝕が大きいと、絞りを開放では四隅だけボケの形状が崩れてしまいかねません。そうするとせっかくの綺麗なボケが四隅だけいびつになるというとても悲惨なことになってしまいます。このような状況ではAPDフィルター込みでも四隅だけ目立つ周辺減光を発生してしまうと考えられるので、絞り開放でも周辺光量落ちがほとんどないという計測結果(PhotoZoneやGANREF)は周辺部においてもSTF特有の描写が維持されるということを示しているように思います。言い換えると中心も周辺も均一なボケを得られるはずで、実際のレンズの評価もこの考えを裏付けています。

以上からソニーのSTFレンズにおいてAPDフィルターの存在はとても重要であるが、マスターレンズの周辺光量が豊富であることも同様に重要な要素であるようです。ポン付けのBBLには135フルサイズ機で使用する場合、周辺部で描写が乱れることが記載されていて、原則はAPS-C向けとしています。このあたり特に135フルサイズで使う場合には「純正STF」に強みがあるようです。EマウントのSTFは100/2.8でフィルター径が72 mmというこれまた過剰とも思えるサイズなので、かなり期待できそうです。発売されればいろんな例が上がってくるでしょうから、今から楽しみです。

2016年7月17日日曜日

645D/645Z向け標準ズーム45-85が生産完了?

135フルフレーム換算で36-68という絶妙に便利な標準ズームFA645 45-85mm F4.5ですが、マップカメラの在庫状況が“【ラスト1点!お急ぎください!】【在庫限り(生産完了品)】”となっています。

価格は税込みで227,200円から変更されて税込み189,800円

今のところ他のお店では生産完了の案内は出てないようなので、単に更新時に間違えたのかそれとも他のお店でまだ案内を出していないだけなのか不明。

予想だと価格改定品で、旧在庫分が残り1点であることです。おぎさくだと価格的にも合ってる感じするし…
http://www.ogisaku.com/products/detail.php?product_id=459

ただマップカメラの他のレンズで同じ状況のものは別の表記で、単に“【在庫限り】”と表記されています。

ところでマップカメラで中判ペンタックスの残り一点というと、生産完了からかなりの時間を経ている67のレンズの一部にも残り一点のモノがあります。
広角ズーム55-100 mm
税込みで99,800円

https://www.mapcamera.com/item/4961333044191

フィッシュアイ35 mm
税込みで92,800円
https://www.mapcamera.com/item/4961333027965

2016年5月8日日曜日

Carl Zeissが出してた「MTFの読み方」を読んでみた(5)

前回に引き続き、被写体側と像側のコントラストそれにMTFの関係について、今回は具体的に検証してみます。

(1)0.9, 0.94, 0.97のMTFは、被写体側が2絞りより大きなコントラストを持つときにようやく大きな差を見せつけます。(2)被写体側が1絞りより小さなコントラストを持つとき、ちょうと図で言うともっとも左側ではMTF が0.7や0.8またはそれ以上でも像側のコントラストの差違は目立たちません。(3)おおざっぱに言うとMTF = 0.7だと被写体側で6絞り以降は像側で2.4段近辺に収束、0.5で被写体側5絞り以降は像側1.6段付近に収束、0.2だと被写体側4絞り以降で像側0.58段付近に、それぞれ収束しています。いずれ被写体側がで大きな明暗差があっても、像側ではここまで大きな明暗差が出ません。

なんとなくMTFというと被写体側のコントラストを像側に何倍で投影するか(50%なら1:64→1:32で1:4→1:2)に思えますが、実は違うということです。
簡単な反証を2つ挙げます。まず被写体側でコントラスト比が1:2(被写体側で2段相当の明暗差)だとします。ここでMTF 50%のとき、もし間違った解釈が「正しい」とすれば像側で1:1になり、コントラストを完全に失うのですが、そんなことはありません(実際には被写体側で2段相当の1:2でレンズがMTF 0.5だと、像側では1:1.4で1段相当)。またMTFが25%だと像側で1:0.5(なんと明暗が逆転!)ということになりますが、もちろんそんなことはありません(実際には0.86段相当)。

閑話休題。フイルムのデータシートでは、しばしば解像力を示すのにコントラストが1:1.6と1:1000という2つの値が示されています。ここで前者は実用的な一方で、後者は現実的ではありません。前者は段数で言うと0.68段相当で、かなり低コントラストですが、後者は段数でいうと9.97段、ほぼ10段相当です。こんなコントラストを伝達できる光学系は存在せず、密着焼きでのみ計測できる程度の値です。言い換えるとレンズを通した上でフイルム面にできる像がこんな10段にも及ぶコントラストを維持できることはありません。画面の中で最も細かい部分の構造(明暗模様・パターン)は、とても高い空間周波数に対応しますが、この世に存在するレンズはどれも10絞り(≒1:1000)ほどのコントラストを生み出すことはできないということです(低い空間周波数でも難しそう)。実際に6ページの図に示されているとおり、MTFが97%という「極めて高いコントラスト比」である場合でも、被写体側で10段の明暗差は像側(フイルム面)で6段の明暗差となり、10段には遠く及びません。だからこそ非実用的というわけですが、言い換えるとこの1:1000を基準にフイルム像が持つ情報量を推し量ることはやや楽観的すぎ、実際にはそこまでの情報(像)を期待することはできないということです。

次回はMTFと解像力についての話です。

2016年4月17日日曜日

Carl Zeissが出してた「MTFの読み方」を読んでみた(4)

今回は数値を代入してどうなるか見ていきます。

被写体側のコントラストはc_object = (64-1) / (64+1) = 63/65 ≒ 0.97
これが50%で変調されるのでc_image ≒ 0.475で、これが(Max - Min) / (Max + Min)なので
0.475 ≒ (Max - Min) / (Max + Min)
(Max + Min) * 0.475 ≒ Max - Min
0.475 * Min + Min ≒ Max - 0.475 * Max
1.475 * Min ≒ 0.525 * Max
Max ≒ 2.81 * Min
Max / Min ≒ 2.81
なので像側のコントラストは約2.8です。段数に換算するとLog2(2.81) ≒ 1.49で1.5段です。

そ れで6ページの最後のグラフですが、MTFと被写体側のコントラスト比、そして像側のコントラスト比の関係です。コントラスト比の段数の極限値(被写体側 で無限の明暗差があってコントラスト比1のときの像側のコントラスト比の段数)は、光学系のMTF値をmとしたときLog2[(1+m)/(1-m)]で す。実際には有限のコントラスト比(<1で、たとえば先の例のように0.97 ≒ (64-1)/(64+1))ですが、この場合は上記の式のmのところに「被写体側のコントラスト比に光学系のMTF値を乗じた値」を代入すれば良い(少しだけmの数値が下がる)わ けです。

重要な点は
  1. 高いMTF値の差は被写体のコントラスト比が高いときに特に有意になる
  2. 被写体側が弱いコントラスト比のとき、それを像側で再現するために高いMTFは不要である
  3. とても低いMTF値では被写体側である程度以上のコントラスト比は像側のコントラスト比に影響しない。言い換えるといくら被写体側のコントラスト比が高くても、像側のコントラスト比はほぼ一定になる
という3つの点です。

具体的には次回

2016年4月10日日曜日

Carl Zeissが出してた「MTFの読み方」を読んでみた(3)

引き続きMTFについて。

光学系では明部と暗部の差が「contrast」(→明暗差)と呼ばれます。より一般的な定義に基づけば正弦波の明暗差は「modulation」(→直訳で「変調」だとしっくりこないけど適切な訳がないので「変調」とする)と呼ばれます。

なぜしっくり来ないかというと、電気系で「変調」と言えば正弦波(搬送波)に信号(被変調波)を乗せることを指します。そして変調した結果、搬送波は形状が変わります。たとえばAMなら振幅が時間変化していて、その包絡線が乗せられてる信号=被変調波です。FMなら周波数が時間変化していて、その周波数とキャリア周波数の差違が被変調波です。いずれ「変調」というと綺麗な正弦波を基準にして、振幅なり周波数なり位相がズレることと関連します。光学においては「変調された後の波」が「正弦波の明暗差」ということですが、正弦波で周波数も明暗差(振幅)も一定だと「変調されてない波」、電気系で言うところの搬送波と区別がつかないためです。

このようにmodulationという単語の定義はやや疑問が残りますが、ひとまず本文に戻ります。
被写体側の変調と像側の変調の比率をとったものが「modulation transfer」(→「変調伝達」)ということになっていますが、これは平たく言うと被写体側と像側のコントラストの伝達(コントラストの差)です。これが空間周波数に対して「関数」であることから、計測結果はmodulation transfer function (MTF)と呼ばれます。この数字は0と1の間になります(完璧に伝達されてれば1でまったく伝達されずに明暗差が一切現れなかったら0で、あとはその中間値)

少し話が変わりますが、写真家は明暗差をしばしばどのくらいの絞り段数に相当するか、それは我々の目が対数のスケールで関知するものと表現すると理に適っている、による表現になれています。この絞り段数による表現で50%のMTFはどのようなことになるでしょうか。たとえば6段相当の絵(1:64の明暗比)は3段相当の絵(1:8の明暗比)になるのか、それとも1:32の明暗比(5段相当)になるのでしょうか。実は両方とも間違っていて、6段相当1:64を50%のMTFに突っ込むと1.5段相当(1:2.9)になりますが、これはコントラストの定義によるものです。

contrast = (Max - Min) / (Max + Min)

次回は実際に数値を代入していきます。

2016年4月4日月曜日

Carl Zeissが出してた「MTFの読み方」を読んでみた(2)

今回はModulation Transfer(訳すと「変調伝達」かな?)について

なぜMTFが必要かというと、実際の像は有限個の点光源の集合体というよりも無限の点光源の集合体だからです。前者は星景ですが、この場合は分布関数(PSF)で評価できますが、後者の場合無限の点光源の集合で構成される像なので、PSFはほとんど役立たずになるからです。いわゆる典型的な写真は後者なのですが、これに対しても、PSFのように像の品質(像の善し悪し)を表す客観的な指標が必要です。

そこで使われるのが輝度が正弦波のように分布している(連続的で徐々に明暗が繰り返している)パターンです。このパターンはPSFが如何であっても像が再び正弦波になる(パターンと像の間が単純な関係性になる)ため使われます。

補足ですが、正弦波チャートが「一般的な像の代表」として使われる理由は、一般的な像は無限個の点光源の集合として考えることができると同時に、無限個の正弦波の集合としても考えることができるためです。これはフーリエ級数展開をすればわかりますが、いかなる像(点光源を含む)も無限個の異なる振幅と異なる周波数の組み合わせによって表現することができます。このため像をPSFで代表するか、正弦波で代表するかの違いだけで本質は同じです。PSFでは複数の収差がそれぞれ顔をだすので、どのような収差がどのようなPSFを持つのか知っている必要があります。一方でMTFでは複数の収差の総和だけが出てくるのでどの種類の収差が原因になっているかを追求することは難しくなります。つまりPSFではしばしば「実際にはあまり影響のない要素」まですべて明らかになってしまいPSFが複雑すぎて評価することが難しくなり、MTFではしばしば「実際に影響がある要素」が結果に表れず単純すぎて評価することが難しくなる傾向があります。それでもPSFであれば絞りを変化させたり点光源の大きさと波長を変えたときにPSFがどのように変化するかを丹念に観測していくことで、MTFであれば周波数を10, 20, 40 lp/mmだけでなくもっと多種多様な空間周波数で白色光以外にも緑や橙など複数の単色光を計測することで、それぞれ十分に深い考察や分析が可能なはずです。

さて話を戻すと、正弦波チャートの方向とその周波数は像側でも変化しません。変化するのは唯一明暗の強度差です。この理由はPSFの応用で、明部の光が暗部に重なるために暗部の黒が浮いてしまうためです。

5ページにある図は正弦波パターンの断面図の一例です。1 mmあたり20サイクルなので1サイクルは50 um、赤と青の曲線はそれぞれ赤点と青点を点光源として考えたときの輝度分布の断面図です。青点で示された位置における理想的な輝度分布は実際には青い曲線のようになります。この青い曲線を見ると±25 umの位置、理想的な輝度分布では谷になっている(→真っ黒になっている)箇所にも多少の光が分布していることが見て取れます。同様にして赤点における点光源を仮定して計算される輝度の分布は、その輝度こそ小さいものの-25 umに近いため青点を基準にした点光源からの分布よりも実質的に強いものになります。

つまり暗い場所(-25 umなど「谷」になっている箇所)における像側での輝度の強度は隣接する空間から漏れてくる輝度の合計値になっています。結果として像側における(変調された)強度分布(imageで表記されてる○印の明暗差)は弱くなってしまいます。正弦波チャートの暗い部分は(先に述べたように)諸収差によって明るくなり、また明るい部分は暗くなります。

今回はここまで。次回はMTFが落ちてくると何が起きるのか、複数の被写体側強度にたいする像側の強度という観点から解説していく箇所です。

2016年3月31日木曜日

Carl Zeissが出してた「MTFの読み方」を読んでみた(1)

まずはPoint Spread Funtion(PSF; 日本語だと「点拡がり関数」、すっごいダサい直訳)が不適切になる理由を理解しなければなりません。

収差を理論的な側面から理解するという観点からは、PSFという側面を見ることは良いことのように思います。形状とその大きさを見ればレンズから得られる像の特性を評価できることは事実です。ところが以下の1つの理由から、この比較は「そこまで良いものではない」ということが言えます。
  1. PSFの形状は条件次第でとても複雑になり、単純な説明をさせないことがあるため。特にデジカメのローパスフィルターは、それそのものがやや奇抜なPSFを有するので簡単には解析できない(PSFの解析の際には、それがたとえレンズのPSFでも一度「像」にする必要があるので、デジタルカメラを使って像を計測する場合はとても複雑な条件になる・3番目の理由で詳述)
    ※近年ではローパスフィルターが入ってないものもありますが、それでも像面、コマ収差、球面収差が複雑に絡んだPSFを理解することはとても大変でしょう
  2. PSFが分かったところで、実際の撮影シーンにこのPSFがそのまま適用できるようなものは少ないため。現実には天体撮影をする場合だけPSFがそのまま適用可能で、それ以外は「数多くのPSFが重なり合ってる状態」なのでPSFをいくつも配置し、それらの和を計算する必要があります。これは現実的ではありません。
  3. レンズを通して結像した像が人間の目に知覚される、一連の画像処理の流れは、次の章で述べるような方法によって、PSFによる解析よりもより自然で単純で美しく書き表せる。
最後の3.に書いてある「次の方法」というのはModulation Transfer(変調伝達)のことですが、これは次回改めて書きます。またMTFはModulation Transfer Functionの略です。

まとめると複数の収差(ザイデルの五収差と色収差)が、それぞれ違う大きさで複合的に現れてくる点光源によって光学系の善し悪しを評価することは困難であるということです。レンズの評価をするには、かならず像であり観測可能な状態である必要があります。この場合はレンズ単体の収差に加えて、像を得るためのデバイス(フイルムなりイメージセンサー)の特性も加味しなければなりません。

センサーやフイルムが違えば、同じレンズでも別のカメラで計測すれば別の結果となってしまいます。特に同じモデルでもローパスフィルターの作用をキャンセルしているものが設定されていれば(たとえばD800とD800Eであったり、5Dsと5DsRの関係)、それぞれにおけるPSFの結果は大きく異なることが予想されます。しかしながらこれらにおけるPSFの違いはレンズの違いを表しません(違いはあくまでセンサー構造の違いです)。

もちろんこのセンサーの違い(ローパスフィルターの有無)に起因するPSFの違いは、最終的な像の差違を生み出します(D800とD800Eの違い・デジカメwatchであったり、5Dsと5DsR・デジカメwatchでどのくらい違いがあるか検証しています)。しかしこれらの違いをPSF単独で見いだすことができるかどうか、というところが問題になってきます。特に私たちユーザーはPSFを示されても、一般的な被写体でどのような像が得られるかは予想することができません。

これらの事情からも、PSFは客観的な光学系の評価方法の1つでありながらも、一般撮影における像の状態を予想するためには適していないということができます(これがMTFが使われている理由)。

2016年3月28日月曜日

Carl Zeissが出してた「MTFの読み方」を読んでみた(序・その2)

(前回の続き)

・シグマ
https://www.sigma-photo.co.jp/new/new_topic.php?id=611
“MTF(Modulation Transfer Function)は、レンズ性能を評価する尺度のひとつで、被写体の持つコントラストを像面上でどれだけ忠実に再現できるかを空間周波数特性として表したものです。
図の横軸に像高(画面中心からの距離mm)をとり、縦軸にコントラスト値(最高値を1)を示したものです。
MTFには光の波動的性質を考慮した「波動光学的MTF」と考慮しない「幾何光学的MTF」があります。
光の波動的性質は光の回折現象として現れますが、回折現象はF値が大きくなる(絞り込む)ほど顕著で、
像の解像度を低下させる原因になっています。また、回折現象は開放状態でも発生しており、弊社では、当初から実際の撮影データに近い「波動光学的MTF」を掲載しております。
一方、光の波動的性質を考慮しないMTFは「幾何光学的MTF」と呼ばれ、簡易的に計算できるメリットがあります。しかし、回折現象を考慮しないためF値が大きくなるほど実写性能よりも値が高くなる傾向を持っています。”

これは波動光学的MTFと幾何光学的MTFの違いについて、です。このほかに

“このMTF曲線は、絞り開放時の空間周波数10本/mm(1ミリの中に白黒の組が10組)に対応する曲線を赤線で、空間周波数30本/mm(1ミリの中に 白黒の組が30組)に対応する曲線を緑線で示しています。10本/mm の曲線が高いほど(1に近いほど)コントラストがよくヌケのよいレンズとなり、30本/mmの曲線が高いほど(1に近いほど)高解像度でシャープなレンズ といえます。また、S方向(サジタル方向:放射方向)とM方向(メリジオナル方向:同心円方向)の特性が揃っているほど自然な描写が得られボケ味のよいレ ンズとなります”

という記載がありますが、いずれたいした話はしていません。

・トキナー
http://www.kenko-tokina.co.jp/faq/0238.html
“被写体の持つコントラストを像面上でどのくらい再現できるかを表すものです。”

手抜きしすぎ

・タムロン
http://www.tamron.jp/product/lenses/a012.html (「MTFの見方」をクリックすると表示)
“被写体の持つコントラストを、レンズを通してどの程度忠実に再現できるかを表したのがMTF(Modulation Transfer Function)曲線図です。
MTF曲線図の10本/mm(低周波)のカーブが1に近いほどコントラストの再現性がよく、ヌケの良いレンズとなり、30本/mm(高周波)のカーブが1に近いほど解像性のよいシャープなレンズとなります。
また、画面の放射方向(サジタル・実線)と円周方向(メリジオナル・破線)によっても、カーブが異なります。
シャープで抜けがよく、画面全体で均質な性能を得るには、それぞれのカーブのバランスが取れていることが大切です。
なお、レンズ性能は、ボケ味や各種収差の状況など、MTF曲線図だけでは表せない側面もあります。MTF曲線図は、レンズ性能を表す尺度のひとつとしてご利用いただけます。 ”

相変わらず生ぬるい表記で、イマイチ当を得ません。

・コシナ
※Carl ZeissとZEISS銘のレンズのみチャートを公表し、読み方は記載なし

・Carl Zeiss
詳細データを公表
How to Read MTF Curves - Zeiss
https://www.zeiss.com/content/dam/Photography/new/pdf/en/cln_archiv/cln30_en_web_special_mtf_01.pdf

そこで次回以降、唯一のまともな(?)記載がされてるCarl ZeissのPDFファイルを参考に、どうやってMTFチャートは活用されうるのか検討していきます。

Carl Zeissが出してた「MTFの読み方」を読んでみた(序・その1)

MTFチャートって各メーカーが公表していますが、読み方はよく分かりません。もちろんおおざっぱには書いてありますが、詳細が不足していてまったく役に立ちません。

・キヤノン
http://cweb.canon.jp/ef/knowledge/index.html
“10本/mmと30本/mmのMTF特性が示されています。MTF特性図上の10本/mmのカーブが1に近いほどコントラスト特性がよく、ヌケの良いレン ズとなり、30本/mmのカーブが1に近いほど高解像力を備えたシャープなレンズとなります。シャープで抜けのよい高性能レンズであるためには、両者でバ ランスが取れていることが大切ですが、一般的に10本/mmのMTF特性が0.8以上あれば優秀なレンズ、0.6以上あれば満足できる画質が得られると言われています。”

メーカーのくせに「○○であれば満足できる画質が得られると言われています。」なんてものすごい歯切れが悪い言い回しです。しかもこの表現はデジタル一眼レフが登場する前から脈々と受け継がれたもので、本当に信じて良いのだろうかと疑いを持ってしまいます。 サジタルとメリジオナルの違いも一切触れられてないし、これを見てもさっぱりわかりません。

キヤノンの公表しているMTFチャートで唯一評価できる点は、絞り開放だけでなく絞った状態のチャートも掲載していることです。この比較があれば、レンズの特性が絞りを絞り込むことでどの程度変化するかが分かります。特に大口径単焦点レンズで「開放はちょっとフワッと、絞り込むとスパッと写す」ようなレンズでは、この比較がないと「開放はフワッと写る、じゃあ絞ったらどうなるんだ」ってなってしまいます。

・ニコン
http://www.nikon-image.com/products/lens/mtf.html
“軸外像高では非点収差の影響でS方向(サジタル方向:放射方向)とM方向(メリジオナル方向:同心円方向)で、コントラストの変化が異なってきます。一般 に、10本/mm の曲線が1に近いほどコントラストがよくヌケの良いレンズになり、30本/mmの数値が高いほど高解像なレンズといえます。”

サジタルとメリジオナルの違いに言及しているのは良いのですが、その原因は常に非点収差とは限りません。たとえば倍率色収差が出ている場合は、放射方向は影響を受けない一方で同心円方向は影響を受けます(色にじみが白黒チャートの濃淡に影響を与える)。

ニコンの問題点は絞り開放しか掲載していないので、「中庸な口径で絞り開放からシャープなレンズ」のほうが「欲張った大口径で、絞り開放では少し甘いが絞ると収差が減るレンズ」よりも良く見えてしまうことです。

・ペンタックス
※多くのレンズでMTFチャートは載ってない

・ソニー
http://www.sony.jp/ichigan/products/SAL50F18/feature_1.html
“MTFはレンズのコントラスト再現性を示すレンズ性能評価方法のひとつ。撮像面上で画像がどれだけ被写体を忠実に再現しているかを、周波数特性で表現しま す。MTF特性図は、横軸が画面中心からの距離(mm)、縦軸がコントラストとなっており、また、MTF特性は代表的な空間周波数(10本/mm、30本 /mm)について、方向(放射線状:R、同心円状:T)、絞り値(開放、F8)の条件により表されています。”

キヤノン並の説明です。計測もキヤノンと同等で、絞り開放と絞った状態の両方を載せてるのはいいのですが、肝心の説明がスカスカです。

・オリンパス(フォーサーズ陣営)
http://www.four-thirds.org/jp/special/lens_knowledge.html
“Modulation Transfer Function(MTF)曲線は、レンズ性能を評価する指標のひとつで、被写体の持つコントラストをどの程度忠実に再現できるかを周波数特性によって表したものです。
MTF曲線は、縦軸にコントラスト再現率(%)、横軸に画面中心からの距離(mm)を示し、放射線方向のS(Sagittal)と同心円方向のM(Meridional)の2曲線で評価します。
下記のMTF曲線図は、1mmに20本の正弦波と、60本の正弦波がレンズを介して、そのコントラストをどこまで再現できるのかを表しています。一般に、 低周波の曲線が100%に近いほどコントラストの良いレンズで、高周波の数値が高いほど高解像度なレンズと言えます。
評価する周波数の設定は、各社の設計ノウハウによって異なります。”

正弦波の数が他の2倍になっているのは、センサーサイズが一片あたり半分なので、同じサイズに出力される場合だと等価の空間周波数が2倍になるためです。この説明がないのはイマイチで、他の説明はキヤノン並です。

・富士フイルム
※MTFチャートが載ってるのに、解説がない
(次回に続く)

2016年3月14日月曜日

Modulation Transfer Function

Modulation Transfer Function (MTF)の考え方は電気系の伝達関数がベースになっています。電気系では横軸が時間で縦軸が振幅です。光学系では横軸が位置で縦軸が振幅です。

電気系で信号がLowからHighに立ち上がる(またはその逆の)過渡応答、いわゆるスルーレートが定義されているように光学系でもスルーレートを考えてみます。ただし光学系では横軸が時間ではなく位置になるので、スルーレートも時間ではなく位置に関するものになります。


電気信号がHighからLowに変化する状態は、明るさが白から黒に変化する状態に対応します。このとき理想の波形に対して実際の波形は、しばしば横軸方向に大きな幅を持ち、理想的には直角に落ち込むところで実際にはもっと緩い角度で落ちていきます。。電気信号で言えば立ち下がりがとても遅い状態です。光学的には白から黒に向かうとき、キレが悪くフレアを伴うような状態です。これは何を示しているかというと、黒い背景の中に存在する点光源が、理想的には点になるところで実際にはより大きな面積になってしまうことを示しています。この様子は夜景や星景の撮影をした経験があれば感覚的に分かるかと思います。

逆は少し紛らわしいです。電気信号でLowからHighに遷移する時の信号の傾きは、理想値(直角)よりも小さくなり、これは光学系でも同じです。ただし電気系だと応答が遅れるところ、光学系だと応答が進むと考えられます。電気系ではLow→Highに切り替えるのに時間がかかる一方で、光学系では明るいものが暗いものに影響を及ぼすため、基準になる位置が違っています。電気系では切り替え始める時刻が基準になりますが、光学系では明るい位置が基準でそっからさかのぼって暗い側に影響を及ぼします。ちょうど先に述べた明るい部分から暗い部分に遷移する状況を左右反転して考えている状況です。繰り返しですが、電気系では横軸が時間ですが光学系では横軸が位置なので、電気系で置き換えるとあたかも「時間をさかのぼっている」ように見えることに注意してください。電気系は時間に対する応答(横軸の増加に対して縦軸が影響を受ける)一方で光学系は明るさに対する位置への影響(縦軸の変化に対して横軸が影響を受ける)ということです。