高性能と言われているレンズですが実際はどうでしょうか。
レンズの特徴
このレンズMTFチャートがやたらフラットです。実際に撮っていても画面の中央と周辺で差がほとんどありません。
More PhotoGeekery: Finite Conjugate MTF Bench Tests for Macro Lenses
Carl Zeissの一眼レフ向けレンズの中でもやたら周辺までフラットな特性を示します。
Just MTF Charts: Zeiss SLR Lenses
https://www.lensrentals.com/blog/2019/03/just-mtf-charts-zeiss-slr-lenses/
では無敵なレンズなのかというと、決してそんなことはありません。問題を見て行きましょう。
軸上色収差
一番の問題は絞り開放付近において残存している軸上色収差です。この点でOtusに大きく後れを取ります。
あるサイトには次のようにChromatic Aberrationsの項目に記載があります。
Lateral CA is corrected almost perfectly, one of the best performances I have seen so far in any lens.
Axial CA is the biggest issue I have with the Makro Planar. Of course it only is an issue with certain subjects but it can be quite distraction from the otherwise spectacular performance.
https://phillipreeve.net/blog/review-zeiss-makro-planar-100mm-f2-sony-a7/
別のユーザーの評価の中でも同様の問題が露呈しています。
結論から言うと、やはり浅絞りの時の色収差の出方はすごいです。
https://ganref.jp/m/potomacriver/reviews_and_diaries/review/8960
実際に使用していてもこの印象に相違はなく、画面内に輝度差が激しい部分があるような厳しい条件では概ね2段ほど、F4.0程度まで絞り込む必要があると感じます。
Stopping down to f/2.8 significantly improves the fringing, and by f/4 fringing is almost completely gone.
http://lenses-review.blogspot.com/2009/11/carl-zeiss-100mm-f2-review-aka_16.html
このレビューはウイットに富んだ部分も含めて好きなのですが、どんなに酷い状況でもF4.0でフリンジングが大幅に克服される例が出ています。
他の問題:口径蝕や逆光耐性
口径蝕もコシナの作るカールツァイスレンズに共通する特徴で、このレンズでも漏れなく口径蝕が見られます。特にボケは本当にどうすることもできないのでどうしても最周辺部まで綺麗な円形を望むならば2段ほど絞ったF4.0にする必要があります。この口径蝕から生じる別の問題として周辺光量不足もありますが、これは幸いにして補正が容易で、状況によっては表現の一部として有効活用することも可能です。
F2.0なのにそのF2.0が使えないどころかF4.0まで絞るようでは、他社のF2.8のレンズで十分という見方もできます。しかし特に低光量下では画面全体でコントラストが低めになるため軸上色収差は目立ちづらくなります。また口径蝕も常に目立つわけではありません。このためF2.0が完全に無駄になるということは一切ないと言えるでしょう。
そのほかマイナーな弱点としては、逆光に必ずしも強くないということが挙げられます。もしかしたらMilvusで改善されているかもしれませんが、実際に比較したことはないので分からないです。そのほかでは特に困ることはないでしょう。後群はフローティングのようですが、全群繰り出しが基本となっているため全長がやたら伸びるマクロレンズで、他のレンズと比べるとややゴミが入りやすいようにも思えます。頻繁に使う人は3年から5年に1回くらいの頻度で分解清掃へ出すのが良いかもしれません。
とはいえ全体的には良いレンズ
何より周辺部までフラットな特性は他のレンズで代えがたいものがありますので、極上の操作感と組み合わせて使う場面は大いにありそうです。軸上色収差や点像再現性を含めて決してOtus並の性能とは言えませんが、大きさ重さでは有利です。当然ながらズームレンズと比べても小型で軽量です。F4.0まで絞ると軽いゴースト以外の欠点がすべてなくなってしまうので、もし焦点距離が肌に合うのであればこれ1本ですべてを撮影することも十分に可能です。
個体差という観点でもかなり安定した性能を示しているようです。LensRentalsでは30 lpmmを用いたばらつき指標を用いています。どのくらい信憑性があるか、実際の製品の写りを見て感じるばらつきとの相関がどのくらいあるか、これは常に議論の余地があります。それでもこの指標で9.3と、かなりすごい値を出しています。グラフで実際の性能のばらつきの少なさを見てみてください。
Variation Measurements for Telephoto Lenses
https://www.lensrentals.com/blog/2015/07/variation-measurements-for-telephoto-lenses/
個体差が少ないということはどの個体を選んでも性能が安定している、外れがないということです。ただし中古で買う場合は、どのような扱いを受けてきたかの履歴が不明なので必ずしもこの安定性の恩恵を被れるとは限りません。
そしてこのMakro Planar 2/100は基本的な光学設計が変更になっていないにも関わらず、何故か数値計測サイトではMilvus化で解像度(解像度って何だろう?)を含む数値が向上した謎のレンズの1つです。ただ実際にClassicを使っている感覚としては、3600万画素のカメラにも問題なく対応しています。もしかしたらMilvusで何かが変わっているのかもしれませんが、Classicでも「必要にして十分」というのが正直なところです。ただこのClassicは中古市場でもなかなか出てこないため入手性が悪く、これから購入を検討している人はMilvusにするのが良いかもしれません。外観のデザイン面の変更だけでなく、シーリングによって耐候性が向上しているようです。
レビュー
遠距離から近距離まで満遍なく作例を掲載
https://kotoba-box.com/carl-zeiss-makro-planar-100mm-f2-review
詳細レビューと共に満遍なく作例を掲載
https://logcamera.com/macro-planar/
ここにも色んな種類の作例が載っています。
https://hoboshuhu.com/makroplanar-100mm-zf/
遠距離でローキー(アンダー目)な作例を多く掲載(Makro Planar 2/50を含む)
https://maenomeri.tokyo/df-makro-planar/
近距離の作例を多数掲載
http://insomnia.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/carl-zeiss-makr.html
特にレンズのレビューはないものの、タグ検索かけると作例が多く見られます
http://blueskyblur.com/?tag=carl-zeiss-makro-planar-t-2100-zf-2
LensTipの詳細レビュー
https://www.lenstip.com/index.php?test=obiektywu&test_ob=402
そのほか
https://dc.watch.impress.co.jp/cda/lens_review/2007/03/27/5875.html
http://blog.livedoor.jp/hiroaki0703/archives/33867964.html
https://www.spaceflier.com/entry/2017/04/01/180000
https://minkara.carview.co.jp/userid/257615/car/718430/4454044/parts.aspx
https://pentax-memo.brassworks.jp/lenses/cosina-carl-zeiss-makro-planar-t-2-100-zk/
https://www.spaceflier.com/entry/20180320_sibuya-yozakura
https://www.cameranonaniwa.co.jp/blogs/2220542122/
https://www.yaotomi.co.jp/blog/walk/carlzeiss-makro-planar-t-2100-zf2/
http://photo.yodobashi.com/nikon/lens/makroplanar2_100/
https://asahiwa.jp/h/lens_carlzeiss_makroplanar100f2zf2.html
https://tatsumo77.hatenablog.com/entry/2019/03/20/200000
https://www.mottupeak.com/entry/2019/09/27/064921
https://harucame.com/nikon-z6/
https://blog.takezou.com/archives/458
https://zeiss-senpai.com/archives/281
https://www.amazon.co.jp/product-reviews/B002YP314Q/?tag=yr_myitem-22
https://www.biccamera.com/bc/item/1561423/
https://review.kakaku.com/review/K0000078065/
https://review.kakaku.com/review/10501211832/
https://blog.kasson.com/the-last-word/focus-shift-and-loca-in-the-zeiss-1002-makro-planar/
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