MTFチャートって各メーカーが公表していますが、読み方はよく分かりません。もちろんおおざっぱには書いてありますが、詳細が不足していてまったく役に立ちません。
・キヤノン
http://cweb.canon.jp/ef/knowledge/index.html
“10本/mmと30本/mmのMTF特性が示されています。MTF特性図上の10本/mmのカーブが1に近いほどコントラスト特性がよく、ヌケの良いレン
ズとなり、30本/mmのカーブが1に近いほど高解像力を備えたシャープなレンズとなります。シャープで抜けのよい高性能レンズであるためには、両者でバ
ランスが取れていることが大切ですが、一般的に10本/mmのMTF特性が0.8以上あれば優秀なレンズ、0.6以上あれば満足できる画質が得られると言われています。”
メーカーのくせに「○○であれば満足できる画質が得られると言われています。」なんてものすごい歯切れが悪い言い回しです。しかもこの表現はデジタル一眼レフが登場する前から脈々と受け継がれたもので、本当に信じて良いのだろうかと疑いを持ってしまいます。 サジタルとメリジオナルの違いも一切触れられてないし、これを見てもさっぱりわかりません。
キヤノンの公表しているMTFチャートで唯一評価できる点は、絞り開放だけでなく絞った状態のチャートも掲載していることです。この比較があれば、レンズの特性が絞りを絞り込むことでどの程度変化するかが分かります。特に大口径単焦点レンズで「開放はちょっとフワッと、絞り込むとスパッと写す」ようなレンズでは、この比較がないと「開放はフワッと写る、じゃあ絞ったらどうなるんだ」ってなってしまいます。
・ニコン
http://www.nikon-image.com/products/lens/mtf.html
“軸外像高では非点収差の影響でS方向(サジタル方向:放射方向)とM方向(メリジオナル方向:同心円方向)で、コントラストの変化が異なってきます。一般
に、10本/mm の曲線が1に近いほどコントラストがよくヌケの良いレンズになり、30本/mmの数値が高いほど高解像なレンズといえます。”
サジタルとメリジオナルの違いに言及しているのは良いのですが、その原因は常に非点収差とは限りません。たとえば倍率色収差が出ている場合は、放射方向は影響を受けない一方で同心円方向は影響を受けます(色にじみが白黒チャートの濃淡に影響を与える)。
ニコンの問題点は絞り開放しか掲載していないので、「中庸な口径で絞り開放からシャープなレンズ」のほうが「欲張った大口径で、絞り開放では少し甘いが絞ると収差が減るレンズ」よりも良く見えてしまうことです。
・ペンタックス
※多くのレンズでMTFチャートは載ってない
・ソニー
http://www.sony.jp/ichigan/products/SAL50F18/feature_1.html
“MTFはレンズのコントラスト再現性を示すレンズ性能評価方法のひとつ。撮像面上で画像がどれだけ被写体を忠実に再現しているかを、周波数特性で表現しま
す。MTF特性図は、横軸が画面中心からの距離(mm)、縦軸がコントラストとなっており、また、MTF特性は代表的な空間周波数(10本/mm、30本
/mm)について、方向(放射線状:R、同心円状:T)、絞り値(開放、F8)の条件により表されています。”
キヤノン並の説明です。計測もキヤノンと同等で、絞り開放と絞った状態の両方を載せてるのはいいのですが、肝心の説明がスカスカです。
・オリンパス(フォーサーズ陣営)
http://www.four-thirds.org/jp/special/lens_knowledge.html
“Modulation Transfer Function(MTF)曲線は、レンズ性能を評価する指標のひとつで、被写体の持つコントラストをどの程度忠実に再現できるかを周波数特性によって表したものです。
MTF曲線は、縦軸にコントラスト再現率(%)、横軸に画面中心からの距離(mm)を示し、放射線方向のS(Sagittal)と同心円方向のM(Meridional)の2曲線で評価します。
下記のMTF曲線図は、1mmに20本の正弦波と、60本の正弦波がレンズを介して、そのコントラストをどこまで再現できるのかを表しています。一般に、
低周波の曲線が100%に近いほどコントラストの良いレンズで、高周波の数値が高いほど高解像度なレンズと言えます。
評価する周波数の設定は、各社の設計ノウハウによって異なります。”
正弦波の数が他の2倍になっているのは、センサーサイズが一片あたり半分なので、同じサイズに出力される場合だと等価の空間周波数が2倍になるためです。この説明がないのはイマイチで、他の説明はキヤノン並です。
・富士フイルム
※MTFチャートが載ってるのに、解説がない
(次回に続く)
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