前回は解像とは2点間の明暗差(コントラスト)を知覚できている状態と定義しました。繰り返しますが、これは観測者に依存します。このためレンズの絶対的な解像力について言及しているものは、解像力の定義がされてなければ参考になりません。誰がどのように観測して、コントラスト何パーセントまでを「解像」と定義するかによって、同じレンズでも解像力(lpmm)は変わってしまいます。
ただし同じ観測者が二つのレンズを同一条件下で「相対的にAよりBのほうが解像力がある」という表現をしていれば参考にできる可能性があります。それでも必ずではありません。入力信号である白黒正弦波チャートの明暗差が実際の条件に即しており、その明暗差が極端に高くなく、また低くないことが第一の条件です。次に観測する際の閾値がこれまた高すぎず、低すぎずに、実際に写真を鑑賞するときに生じる閾値に近い条件であることです。
閾値は主観的なので注意が必要ですが、ここで仮に閾値がコントラストが10%になる点だったとします。そして理想レンズに対して白黒正弦波を、空間周波数を連続的に変化させて入力(撮影)したときにどのような像が得られるか考えてみます。理想的なレンズであっても回折が存在するので、空間周波数が極端に高くなった(→白黒のパターンが密になってる)状態では白黒正弦波が綺麗に出てきません。つまり、空間周波数を低い側から高い側に連続的に変化させたとき、ある周波数で「白黒のコントラストが10%になる箇所」が存在します。
実際のレンズは収差があるので、より低い空間周波数でコントラスト10%を割り込みます。そしてレンズによってその周波数は異なり、解像力はレンズによって異なると言うことになります。もちろん収差状況が異なる中心と周辺では、同じレンズでも解像力(←正弦波チャートのコントラストが10%を割り込む空間周波数)は異なります。
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