2016年3月14日月曜日

解像感

前回に定義した通り、解像力とは閾値のコントラストを割り込む空間周波数で、この閾値は観測者や条件によって変化します。言うまでもなく、この考え方は閾値が10%でなくても、たとえば5%でも20%でも成り立ちます。

ただし、個々のレンズによって空間周波数を連続的に変化させたときのコントラスト応答カーブが異なるので次のようなことが起こりえます。閾値が5%としたとき、つまりコントラスト5%を割り込む空間周波数はレンズAのほう がレンズBよりも高い。一方で閾値が20%としたとき、つまりコントラスト20%を割り込む空間周波数はレンズAよりもレンズBのほうが高いという状況です。こうなると観測者が閾値に5%を採用すればレンズAのほうが「高解像度」で、閾値が20%だとレンズBのほうが「高解像度」となります。

ここで解像感を定義します。解像感は「ある空間周波数以下におけるコントラストの強さ」とします。解像度のときと比べて順序が逆で、まず基準の空間周波数が存在して、そのときのコントラストを見ていたことに注意してください。どのくらいの空間周波数と基準とするかは、これまた観測者や観測条件(拡大率)によって大きく異なるものとします。もしよい良い定義が考えられうる場合はコメントしてください。

先の例で出てきたレンズがどのような 描写になるか考えてみます。話を単純にするために、

レンズAは10 lpmmで70%, 20 lpmmで40%, 30 lpmmで30%, 50 lpmmで20%, 70 lpmmで15%, 100 lpmmで10%, 200 lpmmで8%, 300 lpmmで7%, 500 lpmmで5%
レンズBは10 lpmmで95%, 20 lpmmで80%, 30 lpmmで70%, 50 lpmmで50%, 70 lpmmで20%, 100 lpmmで10%, 200 lpmmで5%, 300 lpmm以降で1%未満

という応答をするものとします。言い換えると100 lpmm未満ではレンズBのほうが高コントラストで、100 lpmm以上ではレンズAのほうが高コントラストという条件です。

また観測者は50 lpmm以下のコントラストでレンズの解像感を判断し、解像度の判定はコントラスト5%に達する空間周波数するものとします。このとき解像感ではレンズBのほうが優れるが、解像度はレンズAのほうが優れるということになります。これがいわゆるコントラスト(解像感)重視と解像度重視の違いになっていると考えています。間違っている可能性はありますが、一つの考え方としては興味深いものに思います。

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