Modulation Transfer Function (MTF)の考え方は電気系の伝達関数がベースになっています。電気系では横軸が時間で縦軸が振幅です。光学系では横軸が位置で縦軸が振幅です。
電気系で信号がLowからHighに立ち上がる(またはその逆の)過渡応答、いわゆるスルーレートが定義されているように光学系でもスルーレートを考えてみます。ただし光学系では横軸が時間ではなく位置になるので、スルーレートも時間ではなく位置に関するものになります。
電気信号がHighからLowに変化する状態は、明るさが白から黒に変化する状態に対応します。このとき理想の波形に対して実際の波形は、しばしば横軸方向に大きな幅を持ち、理想的には直角に落ち込むところで実際にはもっと緩い角度で落ちていきます。。電気信号で言えば立ち下がりがとても遅い状態です。光学的には白から黒に向かうとき、キレが悪くフレアを伴うような状態です。これは何を示しているかというと、黒い背景の中に存在する点光源が、理想的には点になるところで実際にはより大きな面積になってしまうことを示しています。この様子は夜景や星景の撮影をした経験があれば感覚的に分かるかと思います。
逆は少し紛らわしいです。電気信号でLowからHighに遷移する時の信号の傾きは、理想値(直角)よりも小さくなり、これは光学系でも同じです。ただし電気系だと応答が遅れるところ、光学系だと応答が進むと考えられます。電気系ではLow→Highに切り替えるのに時間がかかる一方で、光学系では明るいものが暗いものに影響を及ぼすため、基準になる位置が違っています。電気系では切り替え始める時刻が基準になりますが、光学系では明るい位置が基準でそっからさかのぼって暗い側に影響を及ぼします。ちょうど先に述べた明るい部分から暗い部分に遷移する状況を左右反転して考えている状況です。繰り返しですが、電気系では横軸が時間ですが光学系では横軸が位置なので、電気系で置き換えるとあたかも「時間をさかのぼっている」ように見えることに注意してください。電気系は時間に対する応答(横軸の増加に対して縦軸が影響を受ける)一方で光学系は明るさに対する位置への影響(縦軸の変化に対して横軸が影響を受ける)ということです。
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