さて前回まで画面の中央のピント、中央のピント+F値変化、それに左右のピント+F値変化を見てきました。今回は周辺部の領域で、もう少し丁寧にピント+F値変化を見ていきます。実質「ピントどこまで追い込みますか?その4」ですが、同時に67 55/4のレビューになります。前回の左右のピント+F値変化では左右で差異がほとんどなかったので、今回は左右での特性に顕著な差異がないものと仮定して左側のみ見ていきます。左側を精査するにあたり、今回はシフト可能なアダプタを使うことで、像高Y=38.6 mm程度まで領域を拡大しています。この理由は2つあり、使用するボディが645Dまで含まれること、さらに撮影条件から画面の四隅に画面中央と同じ距離の物体を配することが困難であるためです。645Dのセンサーサイズは約33x44 mmなので知るべき最大の像高は約27.5 mmとなりますが、D810Aのセンサーサイズは約24x36 mmなので最大の像高は約21.6 mmです。さらに前回までの検証のように撮れば画面の四隅は空か地面なので、ピント検証は水平方向しか使えず、検証可能な最大の像高は18 mmとなります。この差を埋めるために、以前このブログで紹介したシフト可能なアダプタを使用しました。最大シフト17 mmなので、水平方向のみ検証に用いても光軸中心を含めて像高35 mmまで検証ができます。
本来はシフト0 mmで任意のピント位置に対してF4, F5.6, F8, F11さらにシフト17 mmでF4, F5.6, F8, F11を撮って、両者を組み合わせて提示すべきところです。しかし時間の制約からシフト0 mmは省略して、シフト17 mmした状態でF4, F5.6, F8, F11と撮り、これらの画面の右端(レンズは光軸中心付近)と画面の中間を2カ所、さらに画面の隅(像高約38.6 mm)の4カ所を切り出して比較しています。最後の画面の隅は直接同じ距離の物体を比較できませんが、手前側がどのような描写になるか参考のために掲載します。また前回までの検証画像とは、それぞれピント位置が少しずつ異なるので直接の比較ができません。ただし撮影時に必要となる精度を推し量るための素材としては十分な品質を提供できていると考えています。
※2018年3月25日追記
後日テストの条件を改めて同じ機材で追試を行いました
※追記ここまで
それでは順番に見ていきます。引き続きsmc PENTAX 55mm F4をD810Aにマウントアダプタで付けて、今回はシフト17 mmの状態で各箇所を900x600でドットバイドットのクロップを並べたものです。縦方向がピント位置の違いで、横方向が絞り値の違いです。上ほどピントが奥で下にいくにつれてピントが手前にずれ、また最も左側が開放のF4.0で最も右側がF11です。
まずは画面の中央右隅(レンズの光軸中心付近)です。開放の画像を見ると上から6番目がピークで、絞るなら7番目のほうが良さそうです。F8.0を見ると8番目が最良でしょうか。5番目はF5.6とF8.0でわずかに甘いです。
次にだいぶ左へ移動して像高20 mm弱の位置を見てみます。開放の画像を見ていくと6番目か5番目がピークに見えます。絞ったとき、具体的にはF8.0だと6番目と5番目で迷いますが6番目のほうがやや優位という程度でしょうか。
さらに左へ移動すると像高が35 mm程度の位置で、水平方向の限界に達します。開放で5番目から8番目のあたりまで何となく良さそうで、F8.0だと5番目から7番目か、あるいは8番目まで良さそうに見えます。
まとめるとやはり開放でジャストになるようにピントを合わせれば全面でしっかりピントが来るのですが、特に絞った時は像高によってピークが若干前後します。このためライブビューで全面平均が最高になるように撮りたい時は光軸中心付近で開放にして、しっかりピントを合わせれば良さそうです。開放ならだいたいピークの中心で、F5.6やF8.0の場合にはほぼピークの中心ですが奥には絶対にいかないように特に注意をして、それぞれピントを合わせれば良さそうです。画面周辺部がそこまで重要でない場合で、F5.6かF8.0に絞る場合は開放にしたとき見て分かる程度、ほんの少しだけ 手前に合わせれば良さそうです。
繰り返しますが実際にこのレベルでピントを合わせるのは容易ではありません。
最後に四隅の様子を見てみましょう。像高はシフト0で21.6 mmなので17 mmシフトしているため38.6 mm程度のはずです。これでも67のフイルムで必要とされる像高43.2 mmより5 mm程度も小さいのでレンズ的には「まだ余力ある」描写のはずです。繰り返しですが、地面は遠方の建物より遙かに近くにあるので、ピント位置の直接の比較はできません。あくまで周辺光量と描写について参考程度の資料です。
開放ですら、ピント位置が最も手前にある一番下の画像ではまずまずな像を結んでいます。ただ周辺光量がかなり落ちているので光量補正は必要に思います。文句なく実用になりそうなのはF8.0からで、この場合は光量補正も必要なさそうです。
こんなレンズが39,800円でまだ新品の流通在庫がありますが間違いなく「買い」でしょう。中古だとクモリ表記がされてるレンズが他の67シリーズのレンズよりも多い印象があるので、選ぶ時はやや注意して見た方がいいのかもしれません。
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