前回はsmc PENTAX 67 55mm F4についてレビューを掲載しました。今回は同様の手法で別のレンズを見ていきます。実質「ピントどこまで追い込みますか?その5」です。
※2018年3月25日追記
別の日にテストし直しました。ピントの刻み方はこの記事の方が細かいですが、リンク先の方が他のレンズと比較しやすいです。
※追記ここまで
今回のレンズはsmc PENTAX 100mm F4 Macroで、これをシフト可能なアダプタを介してD810Aに付けています。前回同様にシフト17 mmの状態でF4, F5.6, F8, F11と撮り、これらの画面の右端(光軸中心付近)と画面の中間を2カ所、さらに画面の隅(像高約38.6 mm)の4カ所を切り出して比較しています。
各画像は900x600でドットバイドットのクロップを並べたものです。縦方向がピント位置の違いで、横方向が絞り値の違いです。上ほどピントが奥で下にいくにつれてピントが手前にずれ、また最も左側が開放のF4.0で最も右側がF11です。 最後の画面の隅は直接同じ距離の物体を比較できませんが、手前側がどのような描写になるか参考のために掲載します。
まずは像高0 mm付近です。
開放だとフリンジが出るものの4番目がベスト、フリンジが消えるという観点では5番目のほうがいいですが、総合的には4番目のほうがいいです。F5.6だと4番目と5番目、F8.0だと4番目から6番目、F11まで絞れば上から2番目~6番目くらいが許容範囲です。中央だけなら「フリンジゼロよりは少し奥で、開放でごくわずかにフリンジが出る4番目くらいのピント位置」が絞る場合も含めてベストでしょう。
次は像高が概ね15 mmです。
開放では迷わず4番目がベスト、でもそんなにキレがない印象です。F5.6だと開放の4番目とそんなに変わりないけど3番目と4番目で迷う程度です。F8.0では許容範囲が広がって2番目~5番目ですが、よく見ると4番目が一番良さそう。F11にすると2番目から6番目、ピークは3~5番目あたりでしょう。像そのものはセンターに比べると落ちますが、ピークという意味ではどの絞り値でも上から4番目で、中央と同様のピント位置が最良のようです。
さらに像高が増したとき、645Dでのみ使われるような領域ではどうでしょうか。
開放だと見る場所にもよりますが3番目から5番目が良さそうです。2番目もギリギリ許容範囲かな、点光源の様子を見るとちょっと判断に迷うところです。一段絞ってF5.6では2番目から4番目が許容範囲で、5番目は開放よりむしろピント外れてるような印象を与えます。ピークは3番目でしょうか。さらに絞ったF8.0では1番目から4番目が良くて、ピークは2~3番目のあたり。最後にF11を見ると1番目から5または6番目までが許容範囲で、ピークは2番目から4番目でしょう。
1番目のピント位置はアダプタが薄めなので本来は完全にオーバーインフになるような設定です。実際に像高が低いと大胆に無限を超えてる様子が見て取れましたが、この像高では少し様子が違うようです。フローティング機構があるとは言え、はやりマクロレンズなので無限遠の撮影はそこまで得意じゃないのか、あるいはフイルムですしこのくらいのレベルでバランスさせるのが最良という判断だったのか、興味深いです。端までしっかり写すならピント位置は中央のピークで良いのですが、F11まで絞るのがベストでしょう。開放~F5.6だと中央との落差が目立ちそうで、F8.0だとピントがわずかに外れてるように感じる可能性があります。
最後に最周辺部を見てみましょう。そもそも距離が違うので、これまでの3つの画像とは直接比較ができません。あくまで周辺光量と絞り変化による描写の傾向をつかむための参考情報です。
開放では光量が大きく落ち、また一番下のおそらくピントがあっているであろう画像でも、描写もシャキッとしません。F5.6で光量は大きく改善するものの、描写は相変わらずです。これは下から2番目くらいがピークでしょうか。続いてF8.0では下から2~3番目を見ると描写がさらに改善する様子が見て取れます。F11では描写が大きく改善して、下から2~3番目の画像が大変よくなっていることがわかります。
まとめると、全面平均で無難なところを目指すなら、撮影時の絞りに関係なくピントはF4.0で画像にわずかにフリンジが出る程度(ほんの少しだけ奥)にすることで最良の結果が得られる。中央ピークが重要で絞る場合は、開放でフリンジが消える程度に手前にピントを持ってくる。中央でなく中間よりもう少し外側でピント最良を得たければ、ピント位置はやや奥にしなければならないので、希望する像高で直にピントをあわせる。遠距離を67で撮る場合はF11まで絞ると最良の結果が得られそうだが、中央とのピント位置の関係(同じか、手前か、それとも奥か)についてはわからない。D810Aや645DでもできればF11まで絞って、ピント位置は4番目というよりは3~4番目のあたりを目指すのが最良といったところでしょう。
万が一、左右で差がある場合は、それをも考慮にいれてピントを検討し、絞り値を決定する必要があります。大変ですね~
もっとも普通の被写体を普通に撮る分には、こんなデフォーカスの特性を限界まで追求する必要まったくありません。次の写真は同じくD810Aにシフト0 mmの組み合わせでF8.0まで絞って撮ったものです。無難によく写っていますね?
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