2011年3月15日火曜日

マイクロシーベルトとマイクロシーベルト毎時

便宜上マイクロはμですがuに代替して表現します。多くのメディアで不適切な表現が多発しているので、ここに不満を表明します。

1. 大気中の放射線濃度の単位はuSv/hです。
2. ある事象での被曝量(たとえば胸部X線検査)の単位はuSvです。

今日のいわきでは最大で23uSv/hでした。胸部X線検査は50uSvだそうです。某メディアではこの23uSv/hと50uSvを直接比較して「大丈夫」と言っていましたがこれは大嘘です。大丈夫であるという事実は正しいのですが、理論的考察が間違っています。

a. 23uSv/hとは、あくまで「一時間継続すれば23uSvの被曝量になる」という意味である。
b. 23uSvだった時間は1時間に満たないし、最大値の前後は当然23uSv/h以下であった。
c. 厳密には積分をすることになるが、前後の時間を含めた合計の被曝量はおおざっぱに23uSv/hが1時間継続したよりも小さかった。すなわち被曝量が23uSvよりも小さいと考察される。
d. 23uSvであれば一回胸部X線検査の50uSvよりも少ない量であるから心配はない。

このようになるべきです。以下は一例として23uSv/hでも一回の胸部X線検査50uSvを超えるものを考えます。

A. 23uSv/hが3時間継続した。
B. 23[uSv/h] * 3[h] = 69[uSv]である。
C. 69[uSv] > 50 [uSv]なので一回の胸部X線検査の被曝量を超える。

したがって長期間の継続があった場合は、濃度が低くても総量は多くなるのです。どうしてこの程度のことも言えないのか。今回は一瞬だったのでまったく問題ないと思いますが、この結論に至る過程が大変に雑であり、不適切。

数学の積分の定義がわかる場合には次のように考えてください。被曝量は、単位時間あたりの放射線量(濃度)のリーマン和である。したがって大気中の値(濃度)をプロットして、この面積を求めれば、被曝量が簡単に求められます。

なお補足しますが、とても高い濃度の放射線を受けるとその被曝量とは関係なしに症状が出ます。したがって被曝量だけを気にすることは適切ではありません。しかし現在とのところは被曝量、すなわち濃度と時間の積を気にするべきです。たとえ100uSv/hでも6分(=0.1h)なら10uSvです。曝される時間が短ければ多少濃度が高くても被曝量は少なく。逆に濃度が低くても曝される時間が長ければ被曝量は多くなります。くれぐれもご注意ください。

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