2018年3月26日月曜日

smc PENTAX 67 100mm F4 Macro レビュー(遠方の描写のみ)その2

この67マクロについても以前にすでにシフトした状態での描写チェックを行っていますが、その後に更新した描写チェックの手順に則って追試です。

この追試は他のレンズと同時に行いましたが、この100 mmはマクロレンズということもあって無限遠付近でのピントリングの回転角がそこまで広くありません。このためピントが4パターンしか得られませんでした。
回転角は180度程度で撮影倍率1:2程度までカバーするので決して狭い方ではなく、むしろ多くのAFレンズと比べても回転角は広めに設定されている方です。またマクロ域でのピント合わせを考えるとこれ以上に回転角が増えた場合、使い勝手が大きく劣ってしまいます。回転角そのものに不満はないものの、他の67レンズと共通で使う場合はピントの合わせ方に少し注意が必要です。
それでは描写を見ていきます。基本的には前回に得られた結論と同じです。

1, 中心部分

ピントを前後させたときのボケの特性は55/4とよく似ています。前ボケがややクセがある一方で後ボケは緑色の縁取りを伴いながら綺麗に溶けていく印象です。絞り開放では2~3段目に本来のピークがあるようで、2段目では赤紫の、3段目では緑の、それぞれ縁取りを伴ってピントは合っていません。F5.6にすると3段目のほうが少しだけ改善しますが、まだ個人的には許容範囲内ではありません。F8.0でようやく許容範囲に入る描写になります。絞っていくと少しずつピントのピークが奥の方に動いていく様子もまた55/4にそっくりです。



100center

2, ちょっと左

絞り開放のF4.0と1段絞ったF5.6で比べたとき、2~3段目で比べると2段目の方がまだ良い描写に見えます。ここからF8.0まで絞っても中心部のように上から3段目が許容範囲に入っていません。むしろ2段目のほうがやや良いように感じてしまうくらいです。とはいえコントラストがよく出ているのは3段目のようです。それでも2段目の方がよく見えてしまうのは、特に明暗差がハッキリしている部分の滲み方が大口径レンズでほんの少しピントを奥においたときの描写に近いからでしょうか。厳密なピント合わせを一度もしたことがない人や、あるいは写真を撮ったことすらない人がどちらを好むかは興味があります。F11では上から2段目も決して悪くないですが、やはり3段目のほうが全体のコントラストがよりよく出ています。

100near

3, さらに左

ここに来てようやく上から2段目のほうが3段目に対して良い描写になってきます。絞り開放でもよく見ると上から2段目の方が細かい部分の描写に優れています。この差がなぜかF5.6でさらに顕著になり、そのままF11まで上から2段目がリードしているようです。

100mid

4, もっとも左側

ここでも絞り開放から上から2段目のほうがまとまりのある描写で、そのままF11まで最良の描写です。注目すべきはF11にしたときの1段目で、中央で絞ったときに最良だった上から3段目を追い越して最良の2段目に比肩しています。

100far

5, まとめ

絞りを変えた時の特性だけでなく、像高が増していったときのピントの前後の特性までもが55/4とよく似たレンズです。こちらのほうがピントの前後は大きく感じられ、ピントリングの回転角の狭さも手伝って只見線の撮影ではやや使いづらそうと思います。かといって105/2.4のほうもピントのピークは似たように前後するようですし、まだテストできていませんが67の90/2.8が良ければそれにしようと思います。
本来のバケペンで一般的な撮影まで考えた場合は、使い勝手が良いレンズです。標準レンズと呼ばれる画角を持ちながら、エクステンションチューブ不要で約0.5倍まで寄れて、ライフサイズコンバーターをフロントに装着することで1.12倍まで拡大することが可能になります。特にこのフロントアタッチメントは一般的なエクステンションチューブに比べて撮影現場での脱着が容易であり、また露出倍数もかからないため大きなアドバンテージになります。

一般にフロントアタッチメントは汎用品なので各レンズに最適化はされず、また安いものは単レンズ(1枚)で、ちょっと高いものでもアクロマート(1群2枚)です。

画像はケンコートキナーの「ACクローズアップレンズ No.3」商品説明ページのスクリーンショット

一方この100マクロに付属のライフサイズコンバーターは専用品で、メーカーの説明でも3群3枚による高画質を謳っています。

画像はリコーイメージングの交換レンズ/マクロレンズ[67II用]の商品説明ページのスクリーンショット

どういうわけか135 mmに比べてずいぶんと説明に力が入っていますが、いずれ汎用性の高い標準レンズとして使うことが可能です。画角が広めなのでワーキングディスタンスは稼ぎづらいですが、それでも1.12倍まではなんとか実用になるレベルです。デジタルで使って拡大すればいろいろと見えてきますが、フイルムで使えば細かい部分はそこまで気になることもないと思います。細部までしっかり写したいときはF8.0場合によってF16まで絞り込めば隅々まで十分すぎるほどの描写となることが予想されます。
標準レンズの105/2.4は最近かなり高騰してしまい、この100/4は玉数こそ少ないものの値段は以前とそれほど変わらないようです。大きなボケを目当てにしていなくて67で手軽にいろいろ撮りたい条件では初めの一本としても良さそうなレンズです。

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