全体的には使いやすく、HHKBのPro2 Type-Sよりも軽快に入力できる点が良いです。
無骨なデザインですが小型で軽量に仕上がっていて、さらにUSBケーブルの取り回しを考えずに済むのでHHKBシリーズの中でも特に持ち運びの用途にも向いていると思います。厚さはありますが、シリンドリカルステップスカルプチャの形状や静電容量を検知する構造に必要な厚みなので問題にはなりません。この大きさにまとめつつ、一つひとつのキーの大きさは十分に確保されていて入力は快適です。
また各キーのストロークも他の標準的なキーボードと同様に十分な深さが確保されており、さすが厚みという携帯性の要素の一つを遠慮なく犠牲にしているだけのことはあります。もっとも厚さが最優先という人はストロークが浅くてシリンドリカルステップスカルプチャとは無縁の入力しづらいキーボードがいくらでも市場に出回っていますので、重要度に応じて適切な選択を行えば良いだけのことです。
キー配列については初めて使う人には大きな壁となるでしょう。特にHHKBのUS配列は、ただUS配列というだけでなく方向キーやFnキーが独立したキーとして提供されずに右下のFnキーを右手小指で押しながら他のキーを同時入力することで実現しています。慣れればなんてことありませんが、最初は戸惑うこと間違いありません。しばらく苦労します。
配列に関連して、キーカスタムは裏面(Pro2の背面とは異なり、裏面です)のDIPスイッチで変更できるので以下のようにしています。まずSW3を有効にしてReturn直上のDeleteをBackSpaceにしています。次にSW1=ON, SW2=OFFで◇をWindowsキーにし、さらにSW4とSW5の両方をONにすることで「左◇をWindowsキーからFnキーにした状態でさらに◇とAltキーを入れ替え」しています。こうすることでスペースバーの左右の◇がAltに、左AltがFnキーで右AltがWinキーに、それぞれ設定できます。
なおSW1=ON, SW2=OFFで設定できる「Lite Ext.」がどういうことか分かりづらいですが、◇がWindowsキーになるだけです。PFUのサイトに同シリーズの別キーボードですが「*2 Lite拡張モードの場合、◇キーはWindowsキーとなります Macintoshモードの場合、◇キーはCommandキーとなります。」とあります。
http://www.pfu.fujitsu.com/hhkeyboard/leaflet/hhkb_backview.html
Windowsキーは必要ですが右側だけで十分で、それよりもAlt+F4のような動作のほうが重要なので左AltをFnにしています。こうすればAlt+F4が左手だけで押せます。手を大きく回転させる必要はありますが、隣接する左Alt+左◇を左手親指で同時押ししながら中指で4を押せます。このあたりは好みもあるので、いろんな組み合わせで少し使ってみてから最適な組み合わせを見つけると良いと思います。
キーボードの機能に関しては特に多くの機能が実装されているわけではないので単純ですが、難点を挙げるとすれば2つあります。
1つ目は、他でも指摘があるようにUSBが給電専用になっているので、他のモデルのような有線接続は不可能という点です。内部の空間にどのくらい余裕があるのかないのか分かりませんが、できたら手動切り替え式でも有線接続が使えると良かったと思います。
2つ目は電源管理に関してで、電源を入れる際に長押しするのが面倒です。また複数の機器とのペアリングについて考慮しているためか、ペアリングしているパソコンを再起動すると素早く接続が絶たれてしまいます。このためパソコンの再起動後に再びキーボードの電源を入れ直す必要があり、ここで行う長押しが面倒です。またこのときのペアリングには1秒程度ですが遅延が生じますので、ログイン画面でちょっともたつきます。常にログインまでのタイムアタックをしているわけではありませんが、それでもログイン画面が表示された時点で遅滞なく入力できる始められる有線接続のほうが使い勝手は良いです。1つ目の有線接続不可が、もし可能だったら「ログインタイムアタックしたい日」はパソコンを起動してログイン画面が表示されるまでの間にUSB接続しておくという使い方ができたはずです。電源が自動で切れることはしばしば発生しますがそこまで大きなストレスは感じません。SW6をONにすると回避できるのですが、以前に発生したで不具合の遠縁になっている可能性があるのでONにはしていません。
最後に、以前に発生した不具合ですが交換品はこれまでのところ問題無く動いています。不具合の兆候であると考えられる不意のキーの連続入力なども発生していません。ネット上では同様の報告がいくつか見られます。
http://did2memo.net/2016/10/11/hhkb-bt-power-on-failure/
http://darmus.net/hhkb-bt-repair/
自身の件も含めていずれもSW6がONで発生したので、交換品では念のためSW6をOFFにしたままです。とはいえ1件目の方は交換品でもSW6をONにして、その後とくにブログ記事で故障について触れてないので壊れていないものと思われます。
http://did2memo.net/2017/05/04/hhkb-bt-setup/
また関連があるかは分かりませんが、BT関連か電源関連でファームウエアの更新があったことを示す話が出ています。
https://toshiboo-blog.tumblr.com/post/150242633879/hhkb-btが細切れに接続が切れる件
もしかしたら電源関係に不具合があった一部の初期品で、特にSW6をONにすると完全に動かなくなってしまう事例があったのかもしれません。
【2019/07/15 追記】
さらに時間が経過して交換品は2年半ほど使っていますが、まだ動いています。
いくつか不具合報告のページを見つけましたがので、相変わらず抜本的な改善はなされていないようですが、いずれ不具合情報の追加です。
電波干渉が原因と思われる動作不具合の例:【不具合】HHKB Professional BTで接続が不安定・連続文字入力される時の対処法|GREENVIP
https://greenvip.jp/hhkb-failure-remedy/
ファームウエアをアップデートして改善を確認できた例:Happy Hacking Keyboard BTのファームウェア更新
https://www.infrastudy.com/?p=736
なお手元の交換品はファームウエアがA1ですが、問題ありません。接続先デバイスのBTチップあるいはOS/ドライバの組み合わせ次第かもしれません。
【2020/11/12 追記】
相変わらず問題なく動いています。たまにBTチャンネルが干渉するのか、再接続になってしまいます。またもしこの再接続の問題が頻発するようでしたら、パソコンのBTドライバで省電力になるような設定がされているかもしれません。省電力の設定を解除すると問題が解決します。
【2021/03/11 追記】
相変わらずの正常動作です。もう壊れても良いのでSW6をONにしました。
【2023/04/29 追記】
さらに2年以上が経ちましたがSW6=ONでもまったく問題ありません。
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