2017年12月17日日曜日

smc PENTAX 67 45 mm F4 レビュー(遠方の描写のみ)

今回は魚眼を除いたペンタックス67レンズの中でもっとも広角側にあたる45 mm F4のピント特性を見ていきます。購入は昨年あたりで、在庫処分特価の39,800円(税込)を新品で購入しています。中古ではないので、製造時の許容誤差は多少含まれているかもしれませんが、概ね本来の性能をなく発揮していると思われます。

撮影の条件は別の投稿にまとめてあります。いつも通りD810Aにティルトシフトできるアダプタをつけて、17 mmのシフトをした上でピントを動かしてから絞りをF4.0、F5.6, F8.0それにF11で撮影し、またピントを少しずらして同様に複数の絞りで撮影することを繰り返しています。これらはRAWで記録してCpature One ProでレンズのY = 0で光軸付近、Y = 15 mm弱、Y = 25 mm程度それにY = 30 mmちょいに相当するエリアを、それぞれ900×600でトリミングしてタイル状に並べました。

ピント位置は像高によってほとんど変化せず、中央の描写は極めて良いのですが、像高に比例するように倍率色収差のようなものが大きく出ています。ただし単純に倍率色収差の補正をクリックして像がキレキレになるわけではありません。詳しく見ていきましょう。

1, Y = 0 mm付近

開放のF4.0と1段絞ったF5.6では上から4と5番目が良さそうで、4番目は僅かにオーバーインフな感じがして、5番目がベストのようです。
F8.0では被写界深度が増すので3~6番目が許容で4と5番目がピークに、F11だと3~7番目が許容でピークは3(または4か?)~6番あたりです。



smc45center

2, Y = 15 mm弱

早くも倍率色収差のようなものが目立ち始めていますが、像そのものは比較的しっかりしている印象です。
開放とF5.6では上から4と5番目が許容、よく見ると5番目のほうがしっかりしているように思います。F8.0とF11は3~6番目あたりがどれも良いようです。


smc45near-left

3, Y = 25 mm前後

開放では周辺光量落ちが目立ち、倍率色収差のようなものはY = 15 mm弱からさらにちょっと増えているようです。
先ほどと同じく開放とF5.6では上から4と5番目が許容で5番目が僅かに良いです。F8.0だと3~5番目が、F11ではギリギリ2~5番目が許容範囲のようです。

smc45mid-left

4, Y = 30 mm強

このあたりでは少しピント最良の位置がズレているようです。
開放とF5.6それにF8.0では2~4番目が許容で、開放とF5.6はF8.0ほど像がくっきりしません。F11だと1~6番が許容で、ピークは2~4番あたりでしょうか。

smc45far-left

5, まとめ
周辺部までピント最良の位置はほとんど変化がなく、今回の場合は上から5番目のピント位置が画面のかなり広い範囲で良好な像を呈しました。ただし24×36 mmのセンサーで使う範囲を含めて倍率色収差のような何かが大きく、被写体によってはかなり目立つ場合がありそうです。そしてこの色ずれはソフトの倍率色収差の補正で低減こそできるもの、像が甘い感じはF11まで残ります。また44×33 mmのセンサーで使われる周辺部は、絞り開放における光量落ちが目立つので1段ほど絞った方が良さそうでした。

さらにペンタックス 67で本来の使い方をする場合で、キリッとした描写を最周辺部まで期待するのであれば少なくともF8.0まで絞った方が良いようです。ただしデジタルセンサーとフイルムは受光部の構造が異なるため、周辺光量と周辺部の描写についてはデジタルとフイルムで差が出るかもしれません。


倍率色収差の補正がどのくらい簡単か、また倍率色収差の補正で描写がどのくらい改善するのか検証してみたいです。現像ソフトで自動的に倍率色収差を検知し補正するにはシフトをかけない状態が原則だったように思います。像高15 mm程度でも倍率色収差が比較的目立っているので、シフトをかけずにD810Aで撮って後日あらためて検証します。

※2018年3月24日追記:
ひとまず倍率色収差の補正をしてみました。Capture One Proの場合だと水平と垂直それぞれのシフトの方向と量が分かっていれば、ソフトが適切に倍率色収差を解析して補正をかけてくれます。適用した結果を見たところ、色収差そのものは低減されるものの描写がパリッとするわけではありません。これは色ずれが単純な倍率色収差だけに起因しているわけではなさそうです。具体的な収差の組み合わせは分かりませんが、いずれにしても周辺部は割と緩めな描写です。55 mmの描写と比較した場合だと、画角の観点からどうしても45 mmが必要というときにのみこのレンズを使うことになりそうです。

ただし描写がゆるゆるで実用に全く耐えないということではありません。特にバケペンで本来の使い方をする場合は拡大率も今回より低くなり色ずれがより目立たなくなることが予想されます。大きさや重さの面では55/4よりも小型で軽量ですので旅行で荷物に制限がある場合や、ズームの55-100と組み合わせる場合など全体のバランスとして45/4のほうが魅力的という条件がいくつか考えられます。
※追記ここまで

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