2017年12月17日日曜日

(ASAHI PENTAX) SUPER-TAKUMAR 6X7 105mm F2.4 レビュー(遠方の描写のみ)その2

良い天気の日がちょうどあったので他のレンズのチェックのついでに、105/2.4を前回と同じ条件で追試です。

※2017年12月24日追記
当初像高の文字をhとしていましたが読者の方から像高は慣例としてYを試用する旨、提言いただきましたので変更しています。いつもありがとうございます。
http://www.cybernet.co.jp/optical/course/word/s20.html
http://www.lensya.co.jp/lensdata/yougo.html
※追記ここまで

※2018年3月24日追記
条件の詳細は別の投稿にまとめたため、書き出し一部を記事の一番下へ移動しています。
追記ここまで

結果は前回と同じで、周辺部に行くほどピントのピークそのものが手前に倒れています。検証はしていませんが偏芯ではないと思われます。中央でピントピークを出すと周辺部がほんの少し前ピンに、周辺部でピントピークを出すと中心部がやや後ピンに、それぞれなります。44x33 mmのセンサーで使用した場合に画面全体でまずまず満足いく描写を得ようとすると、どうやらF8.0では不足でF11まで絞り込む必要がありそうです。

1, レンズ中心付近(Y = 0 mm近傍)

もっとも左の列の絞り開放F2.4は、上から5番目か6番目あたりが良さそうで、分解能は5番目がやや有利で色収差の少なさは6番目に分があるようです。
左から3番目の列がF4.0ですが、ここだと5番目から7番目が良さそうで、総合的には6番目がピークな感じ。5番目は解像感はあるのですが色収差が目立ちます。
F5.6だと被写界深度が増して5番目から8番目が実用的な描写に見えます。F4.0でやや目立っていた5番目の色収差がさらに減っています。6番目と7番目が甲乙つけがたいかなり良好な描写です。
F8.0でさらに被写界深度が増すので5番目から9番目が、F11になると4番目から10番目がそれぞれ実用的な描写のようです。


SuperT105center

2, すこし左に移動した箇所(Y = 15 mm弱)

続いて24x36 mmで端っこではないけど、中間~周辺部に相当する位置です。
F2.4の絞り開放では、かなり甘いものの、2番目から5番目あたりがまずまずの描写をする範囲でしょうか。ちょっと絞って3列目のF4.0では3番目から6番目のあたり、特に5番目はよく写っています。
F5.6は3番目から7番目が許容で5番目がピーク、F8.0は3番目から7番目が許容で4番目から6番目がピーク、F11なら1番目から8番目までが許容で3番目から8番目でかなり良い描写をしています。

SuperT105near-left

3, さらに左に移動した箇所(Y = 25 mm近傍)

さらに中心部から外れて、24x36 mmのセンサーでは写らない範囲、ただ44x33 mmのセンサーだとギリギリ写る範囲です。
開放は像がピリッとしませんが、1番目から3番目のあたりが他よりマシな描写に見えます。F4.0とF5.6だと2番目から4番目あたりで、F5.6あたりから少しずつちゃんと写っているように見えます。
F8.0は1番目から4番目、F11だと1番目から5番目のあたりがそれぞれピークのようです。

SuperT105mid-left

4, Y = 30 mm強

デジタルでは使われないと思う領域ですが、ついでにチェックです。
開放とF4.0が許容1~5で、F5.6だと許容1~4でピークは3と4とても良い勝負、F8.0だと1~4がピーク、F11は1~5がピークです。デジタルはフイルムと周辺部の描写が大きく異なる場合があるため、参考程度としたほうが良いでしょう。

SuperT105far-left

5, まとめ

そもそも周辺部では像を安定させるためだけにF5.6程度まで絞り込む必要があります。また思った以上にピント位置が像高に対して変化しているので、結果的に画面全体で遠景をしっかり撮影しようとするとF2.4の大口径を生かすことが出来ません。F8.0で許容範囲ではあるものの、厳密にピークを求めたらF11まで絞ってちょうど4行目のピント位置にしておかないといけないようです。もちろん人物撮影や有限距離で画面全体にしっかりピントを合わせる必要がなければより絞りを開けて撮影し、F2.4の利点を生かすことができます。

ところでこのSUPER-TAKUMARはレンズ後群が特に強く黄色く変色しており、オートホワイトバランスでも他のレンズと比べてかなり黄色く写ります。RAW現像時に白点指定することで実用上は問題なく、他のレンズと比較可能な程度には色の補正ができます。ただし補正したところで厳密に他の(新しい)レンズに近い発色が出来ていない可能性が残ります。

また古いレンズでピントリングが無限遠付近でややグリス抜けのような感触があるので、できたら数年以内に一度どこかへオーバーホールをしたいところです。光学系が僅かに製造時の状態から狂っている可能性があり、これが周辺部での像面特性に影響を与えていることも考えられます。

※2018年3月24日追記:
今回見た範囲では中心から外側に向かうにつれてピントがやや手前に移動していました。このため周辺部では、中心部で少し奥にピントを合わせた場合にピントのピークが来ています。ただし今回見ている範囲は像高で言うとあくまで35 mm程度までですが、67で使うと像高約45 mmまで使うことになり、もっとも外側の10 mmほどが今回見られていません。この領域でピントがまた少し奥に戻っていく可能性もあります。設計しているイメージサークルの一番端でピント位置が中心とほぼ合致するという可能性です。D810Aや645Dに使うことだけを考えるとF11までしっかり絞り込みたくなりますが、67であれば拡大率の相対的な低下も含めて、もう少し開けたF5.6あるいはF4.0程度でも隅々よく写っていると感じるかもしれません。
※追記ここまで

※2018年3月24日追記: 以下が前の書き出しの一部です。別の投稿に移動した部分です。

条件は概ねいつも通りで像高Y = 0 mm近傍とY = 15 mm弱にY = 25 mm付近、それにY = 30 mm強の部分の拡大です。それぞれ光軸付近と24x36 mmで使ったときの中間部と44x33 mmで使ったときの周辺部、それにバケペンことペンタックス 67で使ったときの割と周辺部に対応します。

※追記ここまで

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