2022年10月15日土曜日

PC NIKKOR 19mm f/4E ED

個人的に、超広角についてはCarl Zeiss Distagon 21が確立した基準を、Carl Zeiss Distagon 15が拡張してくれましたが限界も感じていました。

Distagon 21は描写があまりにも優秀すぎて、一見すると標準レンズではないかと感じさせます。理想的なラボでの平面の複写では実際にそうだったでしょう。異論はありません。しかし実際のフィールドへ探検に出て写真を撮ると、そこには確かに超広角特有の描写が存在していました。カメラが完全な水平に保たれていないと、うわすぼまりに見えてしまいます。

https://helpx.adobe.com/jp/lightroom-classic/how-to/fix-lens-distortion-photo.html

https://www.captureone.com/ja/explore-features

同様なことはDistagon 15にも当てはまり、画角がより広いためより敏感にこの問題を対処する必要が出てきます。水平垂直を完全にしてしまうと、もちろん状況によりますが、地面が多く写りすぎたり逆に空が多すぎたりしてしまうので、傾けることが多くありました。しかしこれを補正するとなると実効画素数が落ちてしまう問題に直面してしまいますし、トリミングされた領域を考えると15 mmはその画角を存分に生かしてはいなかったのです。これが問題(1)

さらに事態を悪くするのが、周辺部における違和感でしょう。これは無闇矢鱈に超広角レンズで集合写真を撮影すると、周辺部に居る人が実際よりも広い幅を有する体格でないかと感じてしまう現象に通じます。

https://www.dxo.com/ja/technology/lens-distortions/

これはperspective distortionとも呼ばれる現象で、一部の方は困った経験を有すると思います。これが問題(2)

つまり15 mmでは、2つの問題からもはや思い通りの表現ができない領域に達していました。同時に、15 mmほどの対角線画角が必要ないこともよく分かってきました。

この2つの問題を同時に解決し、これまで拡大してきた超広角の領域をでさらに拡大するために導入したのがPC Nikkor 19です。このレンズはパースペクティブを革新しました。

ライズ・フォール、これは画面垂直方向のシフトのことですが、これを利用することで問題(1)を解決し、見上げたり見下ろしたりする必要がなくなったことは言うまでもありません。さらに、主題に合わせてシフト、明確ではありませんが水平方向ということを暗示しています、によって問題(2)を解決しました。

円形フィルターは装着不可能なので、角形フィルターの選定やその問題については次回に。




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