トヨタ自動車と三菱自動車が相次いで出しました。
「新型クラウン プリクラッシュセーフティシステム装着車のリコール」
http://toyota.jp/recall/2013/0626.html
「アウトランダーPHEV、アウトランダー、デリカD:5の電動パワステ、方向指示器、後写鏡、原動機等について」
http://recall.mitsubishi-motors.co.jp/Recall/displayselect.do?orderno=13168
リコールの内容そのものは特に問題ではないのですが、事故を伴った場合の処置がどのようになるか気になります。
(1)追突する側
法律に則れば「車間距離不保持」の違反ですから、追突した側が悪くなります。しかし“常識的に考えれば”そんなに車間距離を開けて走ることは難しいです(煽りや割り込みを誘発して却って危険因子となりうる)。そうはいっても追突する側に過失があることは揺るぎないでしょう。
(2)追突される側
何もしてないから罪に問われないと思うでしょう。しかし「急ブレーキ禁止違反」というものがあります。
---以下引用---
(急ブレーキの禁止)
第二十四条 車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。
(罰則 第百十九条第一項第一号の三)
---以上引用---
これに問われるように思います。金銭的にはともかくとして、違反点数が付くのでしょうか。
(3)事故の責任の所在
上記のように何割の過失になるのか、議論の余地がありそうですが当の追突された本人は不本意としか言いようがないでしょう。システムはOFFにすることが可能なようで、このときはそもそも事故が起きませんから運転者に責任があると解釈できます。
しかし通常このようなアシストに関しては、「アシストに頼った無謀運転に起因する事故は運転者に責任がある」という認識があったように思います(明示されてないとしても)。追突しそうな状況でシステムに頼ってブレーキを踏まず、結果として追突したならば、運転者に過失があることは明白です。他の安全装置であるABS(*)やTCSなどの加減速アシスト、あるいはVSCやVDCの姿勢安定システムはその多くがいわゆる通常走行において作動せず、極限の状況になってようやく介入してくるものです。
(* ABSに関しては、装着車は制動距離がむしろ伸びるという意見があり、実体験やメーカの表記からも「制動距離を縮めるための装置」ではなく「制動中に旋回を可能にするための装置」であることは間違い有りません。したがって制動距離が非装着車に比べて伸びてしまうことがあり、これによる追突事故が発生した場合は誰がどのように責任を負うのか不透明です。しかし経験上は、制動距離が伸びてもごく僅かですし、悪路では速度を控えることで安全を確保できます)
一方今回の自動ブレーキの不具合は、いわば何の危険も見当たらない状況で、運転者の「意思に反して勝手に」急制動がかかるという点がポイントです。
これまでのほとんどの安全装置は、運転者の意思を操作から検知し、補助するものでした。話は少し変わりますが、パニック状態に陥ると頭ではブレーキを踏み込まなければならないと分かっているのに、実際に踏み込めない事例があるそうです。このようなときに、ブレーキを実際の踏み込み量よりも増強させるシステムは「意思を反映した操作」にあたります。
ところがこの自動ブレーキは運転者の意思に反することがあります。運転者がブレーキを踏むこととは独立に制動を自動的にかける装置です。運転者は踏むつもりのなかったブレーキがかかってしまって、追突された場合。このとき一体誰が責任を負うのでしょうか。
これからは自動運転に近いようなものが流行ると考えます。その誤動作によって事故が起きたとき誰がどのように責任を負うのか。新たな法の整備は不明ですがまずは自己防衛のために、現在どのようなアシストがあって、それが誤動作するとどのような挙動になるのか、これを正しく把握しておく必要がありそうです。
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